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    奪う桜井デデデと奪われる熊崎デデデ

    穏当に表現すれば、「ゲームディレクターごとのデデデの違い」というのがこの文章のテーマである。しかしあえて結論をタイトルにした。


    桜井デデデ

    桜井政博ディレクション作品のデデデ大王の役割は「奪う者」である。

    初代『星のカービィ』

    ある日の晩、丘のむこうの「デデデ山」から、くいしんぼうで有名な「デデデ大王」とその手下たちがやってきて、一晩でプププランドの食べ物という食べ物をドロボウしてしまったのです。
    そしてそれどころか、その国に伝わる空飛ぶ秘宝「きらきらぼし」までも奪いさってしまったのです。※取扱説明書より
    星のカービィプププ大全―20th Anniversary (ワンダーライフスペシャル)』からの孫引き


    デデデが奪おうとして、奪われる話。カービィは、デデデに奪われた食べものを奪い返すために、それ以前からデデデのものであった城を奪い、本人を身一つでふっとばし、泣かす。

    その後許したらしいが、このゲームのメインストーリーではそうなる。


    『星のカービィ 夢の泉の物語』
    デデデがスターロッドを奪ったことにより、人々の夢が奪われたと思ったカービィが、デデデからそれを奪い返そうとする。

    実は真の「奪う者」が他にいて、デデデは「奪う者」ではなく「守る者」だったという話。ただし、この話ではデデデはカービィからスターロッドを守れず、奪われた。だが、カービィに協力することによって、ナイトメアからプププランドを守ることには成功した。


    『星のカービィ スーパーデラックス』に収録の「グルメレース」
    カービィとデデデがレースという形で食べ物を奪い合う。

    桜井氏のこのシナリオでは「デデデとカービィは何かを奪い合うライバル」ということになる。カービィが負ければ「デデデに食べ物を奪われた」という話になる。
    熊崎デデデも時として「ライバル」としてカービィに勝負を挑んでくるが、熊崎氏のシナリオには「奪い合う」要素はほぼない。詳しくは後述する。

    同時収録のメタナイトの逆襲は「プププランドを奪おうとしたメタナイトから、ハルバードを奪う」という話で、初代カービィと似た構成。

    『スマッシュブラザーズX』内の「亜空の使者」
    スマブラの亜空の使者でもデデデの役は、カービィから見ての「奪う者」である。
    デデデとしては「守るつもりだったが、カービィに奪ったと思われた」という話で、夢の泉と共通する。
    亜空の使者では、結果的にカービィを守ることに成功したデデデが喜んでカービィを抱きしめ、その後強引にひきずっていく。
    カービィはきょとんとしているが、デデデの意識としては「自分が守ったものは、自分のもの」なのだろう。
    桜井デデデは幸運もあって、自らの策でカービィを守ることができた。
    下村デデデや熊崎デデデは基本的に、力で勝るカービィに守られる側である。それを考えると、力では劣れど策で守る桜井デデデは年長者らしい。

    カービィのコピー能力やヘルパーというシステムそのものが「奪ったものは自分のもの」というコンセプトだ。デデデもカービィと同じ桜井キャラらしく「奪う→所有する→守る」という生き方をしているのだろう。奪ってきた相手に、自分の顔のブローチをつけることによって、他の「奪う者」から守るというのは、それを象徴している。

    桜井シナリオでは、初代では単に他者から奪う者だったデデデが、夢の泉を経て、亜空の使者では他者を守る者になるという成長の物語が展開した。

    桜井氏のいう、「自称大王」というのは、勝手に「プププランドはわしのものだから、わしが守る!」みたいな主張をしている状態なのかもしれない。

    何でも奪って自分のものにする桜井カービィにとってのデデデの特別さは、本人を奪えないという点だろう。近年ではスマブラでのコピーもあるが、カービィシリーズではそうだ。
    『星のカービィ スーパーデラックス』の説明文は「デデデだいおう じきでんのハンマー!」だ。奪ったんじゃなくて、本人の好意で教えてもらった能力だというのが、きっと重要なのだ。聖域なのか、難攻不落なのか。
    熊崎氏にとっても、ここは重要ポイントらしく、熊崎氏監修のカービィシリーズでは必ずハンマーの説明にデデデへの言及がある。

    カービィwiki ハンマー
    http://ja.kirby.wikia.com/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC

    亜空の使者で桜井デデデの物語がいったん終わっていると考えるなら、桜井デデデはカービィのものではない。もっと対等な関係だ。

    もし、初代『星のカービィ』の時点で「実は……」があったとしたら、「食べ物を奪ったのは、夏場で腐りやすいから、城に造った大型冷蔵庫に入れて保存するつもりだった」とか、デデデが告白して終了かな。……これだとギャグマンガか。


    熊崎デデデ

    熊崎信也ディレクション作品のデデデ大王の役割は「奪われる者」である。

    『星のカービィ トリプルデラックス』 のオープニングムービーと『星のカービィ ロボボプラネット』のそれを示せば、証明が終わる気がするが、一応解説しておこう。

    『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス  大王の逆襲』
    おそらくこれがはじめての、熊崎氏がシナリオを書いたデデデの話。

    大王の逆襲は「デデデが奪われる」話だ。実際でも見せかけでも、デデデが何かを奪おうとしている話ではない。
    デデデがカービィが食べようとしたリンゴを奪ってかじる程度でもいいから、何かカービィから奪ったり、これから奪うという宣言をした方が、カービィがわざわざデデデを全力でつぶしに来る理由がはっきりしたような気がする。
    おそらく「デデデは負けず嫌いだから」で、カービィに挑戦する動機として十分としているのだろう。そしてカービィも「挑戦は受ける」と。
    桜井氏がシナリオを書いた『メタナイトの逆襲』だと「奪おうとしていたプププランドが手に入らず、逆に大切な戦艦が奪われる」という、メタナイト陣営の悲劇が描かれる。
    『大王の逆襲』だと、デデデの部下が次々と倒されるという形で奪われていき、デデデはおそらくは自分もまた倒されるという恐れで泣く。
    大王の逆襲はカービィにコピー能力があり、ヘルパーがいるシステムなので、倒された部下達はバンダナワドルディを除いて、カービィの力になる。
    この話のエンディングは、負けた後肩を落として歩くデデデの周囲に、バンダナワドルディをふくめ、たくさんのワドルディ達が集まってくるというもの。力で勝るカービィにもデデデから奪うことのできないものがあった、というのがテーマだろう。


    『星のカービィ Wii 』
    このゲームはデデデがケーキを持ったカービィを、追いかけている場面から話が始まる。
    あえて白紙の状態で見れば、あの情景はこの三種類に解釈できる。

    1 デデデのケーキをカービィが奪って逃げようとしている
    2 カービィのケーキをデデデが奪おうと追いかけている
    3 どっちのものでもないケーキを両方で争っている

    しかしこれはおそらく、さくま良子先生やひかわ博一先生のマンガに、よくあった光景の再演なのだろう。ということで、1の「デデデがカービィにケーキを奪われている」だと思われる。ケーキは地面に落ちて、結局どちらのものにもならない。

    『星のカービィ トリプルデラックス』
    デデデが奪われて、奪い返される話。カービィの目の前で、デデデがタランザにさらわれるところから物語は始まる。
    そしてカービィは正気を奪われた状態の、デデデと戦うことになる。

    デデデがさらわれる場面の画像(公式サイト)
    https://www.nintendo.co.jp/3ds/balj/stage/index.html

    桜井氏のカービィシリーズでは「デデデと何かを奪い合う」だったのだが、ここで「デデデを誰かと奪い合う」になった。
    この話はカービィがデデデを奪い返した後、デデデがカービィをセクトニアから奪い返す、という形でデデデにもヒーローとしての活躍の場を与えている。
    熊崎デデデは普段はかわいい系だが、いざという時は、本気を出して男を見せるという人物なのだろう。

    ifの物語である、デデデでゴー!は、デデデがフロラルドを「おさめてやるぜっ!」と、奪い(守り)にいく話。この時点では桜井風だ。ただ、最後のブラックデデデはデデデから何かを奪うために登場するのだろう。デデデがタランザに奪われたのは「人違い」が理由だったが、ブラデはデデデが目当てだ。無言劇なので、影が奪いたいのは本体の命か、誇りか、地位かは知らない。が、「全てを奪う」というような言葉で、表現されるようなものだろう。一般に「自我同一性(アイデンティティ)」と呼ばれるものにかかわっているのが、影との戦いのお約束だ。

    『星のカービィ ロボボプラネット』
    ロボプラのOPでデデデは、抵抗むなしく自らの国と城を奪われている。王様を倒すゲームであるチェスを遊んでいた王様が、現実に倒されるのが、ロボプラのOPである。いきなりのチェックメイトだ。しかし、本人は生きていた。

    公式ムービー
    【星のカービィ ロボボプラネット】 オープニング
    https://www.youtube.com/watch?v=ni4ow_axdAs

    国を奪われた後、デデデがスージーに細胞をも奪われていたことがわかる。しかしそれから造られたクローンは不完全なコピーだった。これは「全てを奪うことはできなかった」という話。

    熊崎デデデの物語は「奪われそうになったので、奪われまいと必死で抵抗する」という展開が主だ。そして「相手には彼の、全てを奪うことはできなかった」というのが結末である。大王の逆襲やロボプラはこうだ。おそらくトリデラもこれだ。


    下村デデデ

    下村真一ディレクション作品のデデデ大王の役割は「奪われたが故に、奪う者」である。

    『星のカービィ 2』および、『星のカービィ 3』
    デデデ大王が「他人から奪い、それを奪い返される」という形をとらずに、ただ「奪われる者」になったのは、下村ディレクションの『星のカービィ 2』からだ。「操られる」という形で、デデデが全てを奪われる所から話が始まる。だから、熊崎氏がいきなりひっくり返したわけではない。『星のカービィ 3』もデデデの役割はほぼ同じ。
    『星のカービィ 2』および、『星のカービィ 3』でのデデデの奪われ方は「全てを奪われた」と言っていい。桜井デデデや熊崎デデデの物語のように「相手にはデデデの全てを奪うことは出来なかった」という大王の尊厳がない。

    『星のカービィ64』
    このゲームは、デデデの話では始まらない。デデデの初登場場面では、デデデが拾ったクリスタルをそのまま奪おうとする。そのため、カービィの目の前でデデデがダークマターに奪われる。しかし、カービィの力で奪い返される。その後、カービィと一緒に他の誰かを奪い返しに行く。

    この物語の構成は、「奪う者」である桜井デデデと「奪われる者」である熊崎デデデの中間にあるといえよう。この最初の「デデデがクリスタルを奪おうとする」に相当する場面がないのが、トリデラのメインストーリーである。



    アニメ版デデデ

    ウィキペディアによると、アニメ『星のカービィ』のパイロット版は「デデデとカービィが女を奪い合う」という吉川惣司監督らしい直球だったそうだが、本編ではそういう話はほぼなかった。視聴者の評判がよくなかったか。それとも、桜井氏が自分の中のデデデのイメージと照らし合わせてとめたのだろうか。
    結局、アニメ版第一話ではデデデはカービィからワープスターを奪っている。
    第5話「怒れ! ウィスピーウッズ」や第99話「撃滅! ナイトメア大要塞」を見るに、「他者から奪おうとするが、結果として側近のエスカルゴン以外の全てを失う」というのが吉川デデデなのだろう。

    星のカービィ (アニメ)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%A3_(%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1)


    結び

    ディレクターごとに「奪う」の内実は違う。

    桜井Dの場合は「食べる(吸い込む)」ことが奪うことだし、下村Dの場合は「操る(憑依)」が奪うことだ。熊崎Dはあえてパターンを固定していないのか、デデデは部下とか食べ物とか、身体の自由とか、正気とか、城とか国とか、細胞とか、色々と奪われている。一体次の熊崎Dの新作では、デデデの何が奪われるのか。
    なお、アニメ版の吉川監督の場合のデデデの奪うは「だまして巻き上げる」が多い。
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    タグ : アニカビ

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