「神々の模様・アラクネー」 機織りされた機織女とその織物

    自分は壁の飾りとして、ヤフオクで複製絵画を落札したりするんです。
    展示即売会で50万の複製絵画が、ヤフオクで5万円、とか。
    しかしこの前、複製絵画が同じ作者の原画より高値で落札される場面にでくわしました。

    千葉政助という人のギリシア神話を題材にした絵です。
    「神々の模様・アラクネー」というタイトル。
    希望落札価格130,000円、実際の落札価格94,000円でした。
    そして、先日落札された油絵で原画の「誘い歌(セイレーン)」が89,800円。
    んー、誤差の範囲内でしょうか。
    どちらも安いといえば安いですね。でもこの作家のジクレーは状態の良い中古で2、3万程度のことが多いのです。

    多くの複製絵画がジクレーなのに、アラクネーの絵の複製技法は西陣織で限定50部でした。
    たぶん、ジャガード機を使ったもので手織りじゃないでしょうが、極彩色の西陣織の帯って数十万円しますよね。
    でもその伝統工芸品としての評価だけで高値になった、というわけでもありません。

    神話によりますと、アラクネーという女性は女神アテナと機織り勝負をした女性です。
    その織物のできばえはすばらしかったのですが、絵の題材がアテナの父親のゼウスがたくさんの女性に手を出しまくっている絵でした。激怒したアテナはアラクネーの機織り機を打ち壊して彼女を殴り、アラクネーは後悔して自殺したそうです。
    そして彼女は死後アテナによって蜘蛛に変えられたという……。
    ゲームとかで時々見かける蜘蛛女は、たいがい彼女です。
    女神転生シリーズではアルケニーさん常連。

    権力者のスキャンダルを下品にあざける民衆vsプライド高い権力者による恐怖の言論弾圧という、ああいまでもあるな、こんな話という物語。
    現代でも宗教によっては、教祖への冒涜は死罪。国によっては王族への侮辱は有罪。
    この西陣織でアラクネーの絵、というのを考えた企画者(たぶん作者本人)は神話の通りにしたわけです。
    そしてアラクネーの神話を知る入札者が、二人で10万近くまで競ったということなのでしょう。

    開始価格が1,000円だったので、自分もねらってたのですが、神話の通りに女性の裸がいっぱいの絵なので、
    「飾って人に見せられない絵に10万払えるか?」と思ってあきらめました。
    そういう絵を見せる相手に恵まれた人や、自分だけの秘密の部屋を持っている人ならいいですね。

    この絵は千葉政助の画集「アテーナー」に神話の解説付きで収録されていますので、興味のある方はどうぞ。



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