デデデ陛下のおむつ

    アニメ版『星のカービィ』72話 「ワドルディ売ります」(2003年放映)のちょっとした謎についての考察。

    72話で、ワドルディを全部売ってしまったデデデ大王が、側近のエスカルゴンと以下のような会話をする場面がある。

    「おやつは?」
    「自分で食べれば」
    「食事は?」
    「自分」
    「皿洗いは?」
    「自分」
    「洗濯は?」
    「アイロンがけは? 」
    「おむつの取り替えは!?」
    「誰がワシの面倒を……」


    この「おむつの取りかえ」というのが、ごく一部のファンの間で謎とされた。
    「デデデ陛下は、おむつをしているのか? 」
    服が並べられるだけだが、アニメ版のデデデ大王には第12話 「デデデ城のユーレイ 」で一応着替え場面があり、青い肌着を着ているわけではなさそうなのだ。
    つまり、裸に三角を並べた模様の筒状の服を着て、赤いガウンをはおり、冠をかぶっている服装だと推測されている。
    「デデデはおむつどころか、パンツすらはいていないみたいなのに、何のジョークだ」ってこと。
    もしかして昼間はノーパンだが、夜トイレにいけなくなったときの、おねしょ防止のためにパジャマの下におむつをしているのかもしれない。

    比喩か実際にはいているのかはわからないながら、おおむね「デデデ陛下はおむつが必要なほどにお子様」みたいな解釈を、少なくとも筆者はしていた。
    だが、筆者は以前に似たような言い回しのある小説を読んだことがあったので、気になって再読してみた。

    「会社会社っていうけど、あなたが最後にしなびた青菜みたいになって倒れても、会社はあなたのオムツを替えちゃくれないのよ」二言目にはオムツだ。「言っとくけどあたしだって、今みたいな仕打ちされていたら、あなたのオムツ、取り替えてなんてあげませんからね!」『東京発千夜一夜 上』「輪廻転生」森瑤子


    これは中年の妻が夫に言う台詞で「定年後にあなたの介護をするのは、会社ではなく妻であるこの私なんだから、もっと愛してちょうだい」という意味。夫はそんな妻にうんざりしている。
    だから、デデデ陛下の「おむつの取り替えは!?」というのは「この先老いたワシの介護は誰がしてくれるんぞい! 」という意味にもとれるな。
    もしかしたら、「老後の面倒を見る」の言い換えとして「おむつをかえる」という言い方が、一時期はやったのかもしれないが、そこまではわからない。
    『東京発千夜一夜』は1991年に朝日新聞に連載された。掲載紙の発行部数が多いので、読んだ人も多い小説だ。
    著者の森瑤子先生は1940年の生まれ。アニカビの72話の脚本を担当した野添梨麻さんは1962年生まれ。吉川監督は1947年生まれ。
    少なくとも2、30年前だと「老いた夫の介護を妻や嫁や娘がする」というのは、今よりも当然と考えられていた。一般論として「家族に見放される」=「老後に野垂れ死ぬ」みたいな考えは、世代が上になるほど強い。今は超高齢社会で妻子のいない老人も多すぎて、社会福祉でカバーする施策も進んでいる。しかし、予算が足りなくて高齢者の介護は、再び家族の手に戻されようとしている。
    「ワドルディ売ります」は家族を大切に、という話だったのだろう。

    今回とりあげた72話は、星のカービィ 20周年スペシャルコレクション - Wiiに収録されている。

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