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    機甲界ガリアンの脚本について

    アニメ『機甲界ガリアン』の脚本についての、全25話を見ての考察です。この文章は全話を見た人のための脚本家の作風の違いについての分析であり、ネタバレしかありません。

    前置き

    アニメの脚本に興味を持って、「伏せられたカードはあてられるのか」という試みを行っている。
    脚本家の名前がわかっている時点で、「この回は脚本家が○○さんだから、こういう話」と論じるのは、確実ではあるが、「この回はこういう話だから、脚本は○○さんだろう」と推測してあたるのかと。

    というわけで、ガリアンでこういうことをやってみた。

    アニメ本編を見終わり、スタッフロールまでの時間で「今回の脚本家は鳥海尽三氏、五武冬史氏、吉川惣司氏のうちの誰か」を推測する。「吉川氏だと思ったら、手の甲を上にする。思わない場合は、手のひらを上に」や「紙に名前を書く」などして、答えを自分に対して明確にする。
    ネットで検索すれば答えがわかる旧作じゃなく、新作のアニメでやるべきなんだろうが。

    結論としては、ガリアンの脚本家当ての正答率は68パーセントで、全くの偶然であたるのが33パーセントであろうと考えると、一応は何かを読み取れているらしい。
    しかし、ボトムズを全話見た後でも、3割も間違うのか……。


    一般的に最終回間近の「脚本家当て」は当たらない。それは監督や原作者、シリーズ構成などの上が徹底的に管理するからであり、また、登場人物がこれまでとは、違った行動に出るからだ。例えば、拒絶していた相手との和解を試みたりする。
    それから、後半になるにつれて正答率があがるとは限らない。脚本家達がお互いの個性や監督の要求を理解し、それにあわせるようになっていくので、差が見えにくくなっていく。

    ちなみに以前鬼太郎五期で「この回が三条陸脚本回かどうか」をやった時は、確率的には50パーセントで、実際の正答率は71パーセントだった。

    0は正解できた回。xは不正解だった回。

    第一話 0 鳥海
    第二話 x 五武
    第三話 0 吉川
    第四話 0 鳥海
    第五話 0 五武
    第六話 0 吉川
    第七話 0 鳥海
    第八話 0 五武
    第九話 0 吉川
    第十話 0 鳥海
    第十一 0 五武
    第十二 0 吉川
    第十三 x 吉川
    第十四 0 鳥海
    第十五 x 鳥海
    第十六 x 五武
    第十七 0 五武
    第十八 0 五武
    第十九 0 吉川
    第二十 0 吉川
    第二十一x 鳥海
    第二十二0 鳥海 
    第二十三x 五武
    第二十四x 吉川
    第二十五x 五武

    各脚本家の特徴

    鳥海尽三氏
    典型的な展開は「対立から和解へ」

    アニメ・シナリオ入門 (シナリオ創作研究叢書)』(鳥海尽三著 1987年)では、アニメ脚本の例として鳥海氏ご自身の「白いサメ」が紹介されているが、この話も「二人の少年の対立と協力からの和解」を描いた話である。


    4話では主人公のジョジョを盗賊のウィンドウが助け、反発しあいながらもコンビとして行動し合うようになる。同じくチュルルをさらった後のヒルムカが、気の強いチュルルにいじわるなことをいいつつ、あれこれ教え導き、協力関係を築く。二人ずつで仲を深めていく話になっている。
    7話ではヒルムカの話を聞いて、ジョジョ達が協力しようとする。
    14話では勝手について来たチュルルが主人公と協力して、難所を突破する。15話では、ヒルムカがウィンドウの頬にキスするという和解の場面で話が終わった。
    また、ヒロインが助けをまたず、自力で戦うことが多い。

    五武冬史氏

    典型的な展開は「危機に陥った者を誰かが助ける」

    援助や協力によって物語が動く。
    例えば11話では、ヒルムカが機械の修理や、チュルルを助けるなど活躍。ウィンドウと背中合わせでも戦う。ウィンドウが誠意ある援助者(伝令)として活躍。
    18話ではスラーゼンが主人公達を助けに来る。ジョジョがウィンドウにアズベスの救援を頼む。アーストの人々が鉄の都を包囲して、ジョジョたちの助けになる。ハイ・シャルタットがマーダルを助ける。
    最終回でも、ウーズベン達がマーダル達を助けようとしたり、マーダルがフェリアを解放したり、ハイ・シャルタットがマーダルの助けになろうとしたりしていた。


    吉川惣司氏

    典型的な展開は「支配に抵抗する」「真実を探す」「女性が人質になる」だ。

    好きな相手が自分の言うことを聞かなかったら、殴っていうことを聞かせようというのが、吉川脚本によくある展開だ。ハイ・シャルタットはそして反撃され、拒絶される。
    例えば、ガリアン24話の中に、それが三回ある。ハイがジョルディに「好きになった」といいつつ共闘を申し込むが、手を払われて格闘になる場面。マーダルがフェリアのあごをつかんで、おまえはすでに私の后だ、みたいなことをいい、心は渡さないとか言われる場面。ウーズベンがヒルムカを無理にでも連れて行こうとして、撃たれる場面。この3つ。
    13話は真実を知った主人公が、母親代わりのヒルムカに反抗して、実母を求めて一人旅に出る回。これは後述する、「真実を探す」物語でもある。
    吉川脚本では、敵側の目指すところは暴力と権力による、他者の支配である。「他人を思い通りにしようとする」敵と、主人公は戦う。「よく女性が人質になる」というのもその延長かもしれない。

    「真実を探す」について
    6話でヒルムカが真実を探っていた。ウィンドウはヒルムカに本音を言えと迫っている。
    9話の裁判の場面で、ヒルムカだけが真実に気がついている。
    12話はそのタイトルも「マーダルの正体」だ。正体を調べ、また正体を自ら明かす話。
    また、19話の「この連中には何もわかっていない」という感じの場面は、限られた者だけが真実に気がついているという状況を描いている。


    「女性が人質になる」について
    ガリアンは大筋として、敵の手から、母親であるフェリアを取り戻すのが主人公のジョジョの戦いの目的のひとつである。それを考慮しても、吉川回には女性がとらわれる場面が多い。
    3話では勇気がないとジョジョをなじったチュルルが、直後にヒルムカのUFOにつれさられる。
    6話ではチュルル達が敵に捕らえられそうになって、ジョジョが助けに向かう。
    20話ではジョジョの母親であるフェリアがとらわれていて、ジョジョは彼女を助けようとする。チュルルがマーダルに人質にとられた結果、主人公がつかまる。
    24話ではとらわれているフェリアが自らマーダルの妻になると言うが、すでに「余の所有物なのだ」と言われ、とらわれていることが更に強調される。

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