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    小説『ノエル ラ・ネージュ』 (辰宮成彦 作)を読んだ

    ゲームをプレイしていないのに、『NOëL 〜La neige〜』 という、ゲームのノベライズを読んだ。

    『NOëL 〜La neige〜』というのは、冬のスキー場で転倒し大怪我を負った主人公が、同じスキー場に遊びに来ていた鎌倉の女子高生3人組に助けられて、そのうちの一人と彼女になるゲームらしい。

    小説はそれなりの長さがあるが、長編小説の構成ではなく、登場人物が同じ連作短編集のようだ。
    でも、この人がゲーム版のノエル ラ・ネージュの基本設定と脚本を担当した人なので、ゲーム版をプレイして気にいった人にはおすすめ。
    ゲーム版と女の子のキャラが違うということはないだろうから。

    文章はあまり小説らしくなく、ゲームの会話シナリオに、絵を無理矢理文章になおしてはさんだみたいな感じ。
    会話が続いたり、妙に形容詞の多い部屋の描写が続いたり。
    会話の場面が長く、会話をしている人の表情や仕草の描写が、会話の合間にはさまれる回数が少ない。

    内容はちょっと変わった女子高生三人が、恋や進路の悩みを抱えながら季節のイベントを楽しむというもの。
    アクションやミステリーではないので、敵らしい敵はでない。
    この小説最大の敵は、娘の涼も外交官にしようとする、外交官である彼女の父のような気がする。
    涼は人を助ける仕事がしたいと、福祉の専門学校に進もうとして病院の仕事を手伝い、父親に認めてもらう。
    その部分は面白いのだが、無資格の女子高校生が病院に住み込みして、手伝えることは少なそうだが、何をしたのだろうか。
    なお、ゲーム版の『NOëL 〜La neige〜』のウィキペディアの記述によると、医療施設にいる子供たちの世話をしたらしい。それならわかる。

    恋人らしい恋人は出ない。
    恋愛シミュレーションゲームである原作に忠実な小説化と言える。
    秋祭り、沖縄旅行、文化祭、スキー旅行、クリスマス、新年の行事とイベントが多い。
    悪人がいない話なので、優しい世界を可愛い女の子とともに楽しめる。

    この小説はあくまでも、原作のゲームをプレイした人のためのものだろう。小説単体で読んでも、正しく評価できない類いの小説だ。

    このペンネームで出ている小説は、これただ一作きり。

    著者略歴は色々と伏せられているが、この名前はペンネームであること、『NOëL 〜La neige〜(ノエル ラ・ネージュ)』での担当は基本設定と脚本、どうやら本名でゲームの作画部分も担当したらしい、ということがわかる。

    この小説の絵については、「おがたたくみ(スタジオ・ザイン)」と記されている。
    スタジオ・ザインは『NOëL 〜La neige〜』や『星のカービィ』のアニメーション制作会社。おそらく、第20話 「さよなら、雪だるまチリー」の脚本以外の形でもアニメ『星のカービィ』に関わった人なのだろう。

    『ノエル ラ・ネージュ』 [小説]著者:辰宮 成彦、イラスト:おがたたくみ /1998年4月30日発行/ 角川書店(ニュータイプノベルズ) ISBN 4-04-701621-7
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    タグ : アニカビ

    山口伸明さん脚本回のデデデとエスカルゴンの関係の考察

    アニメ版『星のカービィ』で、山口伸明さんが担当した回は以下の11話。

    第11話 宮廷シェフ・カワサキ
    第16話 私を愛したサカナ
    第24話 ニンジャ、ベニカゲ参上!
    第27話 恋に落ちたウィスピーウッズ
    第35話 栄光のプププグランプリ 前編
    第36話 栄光のプププ・グランプリ 後編
    第44話 ウィスピーウッズの友アコル
    第48話 プププランド観光ツアー
    第56話 わがままペットスカーフィ
    第60話 宝剣ギャラクシア!
    第69話 ウィスピーの森のエコツアー

    第24話 ニンジャ、ベニカゲ参上! や、第35話 栄光のプププグランプリ、第60話 宝剣ギャラクシア! など男の子の夢を追求する系統の話もあるが、主にウィスピーの森関連の話を担当した脚本家である。

    台詞は平明で、暴力や侮辱の場面も後味が悪くならないように、配慮されている。
    第11話では、デデデに放り投げられたエスカルゴンが、デデデの上に落ちてくる。また、エスカルゴンが中華鍋で襲われたが、胡椒で反撃。
    第56話では、エスカルゴンがペットの残り物を押しつけられるが、「なんだ おいしいじゃないでげすか」と笑う。あと、「全て秘書のせいぞい」とデデデが、エスカルゴンに責任を押しつけるが、フーム達は「ごまかさないでよ!」とデデデの責任を追及。

    アニメ版「星のカービィ」に黒さを求める人には、あまり好まれないかもしれない。でも健全でかわいい。

    この人のデデデとエスカルゴンは喧嘩もするけど、仲良く悪巧みする関係。一緒に忍者ごっこしたりもしている。
    また、デデデは悪戯好きで、エスカルゴンは臆病。
    給料の話もよく出る。デデデがボーナスとか言い出したのは、山口さんの回が最初ではなかろうか。男同士の友情といって、一番違和感がないのはこのコンビかな。第69話で愛し合ってる発言して、流れを変えたのもこのコンビだけど。
    ただし、おそらく100話中唯一エスカルゴンを故意に殺そうとしたデデデは、第11話「宮廷シェフ・カワサキ」の回でエスカルゴンを、客人に出す料理の食材にしようとした山口デデデ。三国史かよ。
    山口エスカルゴンは知的な発明家。スパイホッパー(監視カメラ付きメカバッタ)は山口エスカルゴンの発明のはず。第16話 「私を愛したサカナ」の潜水艇もそう。
    明言はされていないが、第69話「ウィスピーの森のエコツアー」で、ワドルドゥ隊長が乗っていた一人乗りヘリコプターもそうだろう。

    山口エスカルゴンは料理されかかって正当防衛した時以外、デデデを殴ろうとか、恨みを晴らそうとかはしていないようだ。臆病なせいか、第44話 「ウィスピーウッズの友アコル」の回で「私はにげるでげす」と言って、一足先に逃げちゃったぐらいしか裏切り行為がない。
    あと、山口エスカルゴンは第69話の「悪運強いお方」とか、デデデを立てる。
    吉川エスカルゴンがデデデを立てる時って、第99話の「王者を監禁はひどいでげすよ」とか、第三者に対して立てているのであって、二人の時はあまりほめない。

    「わがままペットスカーフィ」の時は、デデデがハンマーでスカーフィを追い払い、エスカルゴンは「陛下 がんばって」と後ろに隠れていたが、デデデがハンマーごとカービィに吸い込まれそうになると、必死でデデデを引っ張っていた。


    第69話 「ウィスピーの森のエコツアー」 について

    この話がこのアニメシリーズにおける、山口伸明さんの最後の担当回になる。
    最後だから、全力を尽くしました感がある。しかし、なぜこっちの方向にベストを尽くしたのか。

    では、吊り橋の場面から、ウィスピーの前に出るまでの場面を軽く解説しよう。
    デデデがエスカルゴンを脅かそうとしたことが原因で、二人は川に落ちた。そしてエスカルゴンは、重いデデデを岸辺に引きずりあげる。
    遭難が確実になった後、「わしはもっと生きたいぞい」とデデデは目に涙を浮かべ、エスカルゴンの腕にすがるようにしていう。エスカルゴンは「私だって」と答え、そのまま二人で手を握り合って、「愛してたぞい」「愛してるでげすー」といいつつ泣く。デデデの方が感情的ですぐ悲観するので、過去形なのだろう。
    その後のろしをあげようとして山火事になり、デデデは「この責任はエスカルゴン きさまぞい」と責任を押しつけて殴る。その後もぽかぽかと殴り、さらにはハンマーで殴ろうとするがエスカルゴンに逃げられる。でも逃げられて一人になるのは嫌なので、デデデはエスカルゴンの腕を両腕でつかみ無理矢理引き留めようとする。怒ったエスカルゴンが思いっきり腕をひっぱって振り払おうとすると、いきおいあまってデデデがエスカルゴンの背中の上にどぉんと乗る姿勢になる。迷惑そうな表情のまま、エスカルゴンが上を見ると、燃えた木が倒れてくる所だったので、火事場の馬鹿力でデデデの両腕の付け根あたりをつかみ、背負いながら必死で炎から逃げる。

    山口回ではデデデがエスカルゴンを背負っていたりもするし、普段はほのぼのした関係。
    しかし、この話ではエスカルゴンが一方的にデデデを助けている。
    吉川惣司脚本回のエスカルゴンの「気に入られたいが、デデデの役には立たず、気分で殴られる」と、この話の「気に入られているし、デデデの役に立っているが、気分で殴られる」のどっちが切ないだろうか。

    この第69話のデデデとエスカルゴンが森で遭難する物語は、吉川脚本の第5話「怒れ! ウィスピーウッズ」の迷子になる二人の場面の延長線上にある。
    第5話では二人は、森で迷子になって、いったんは喧嘩別れしたが、「やっぱ一緒にいくぞい」と抱き合っていた。

    この第69話では、山口さんの他の回と趣が違い、デデデのエスカルゴンの扱いがややひどい。普段の山口デデデはエスカルゴンをあまり殴らないし、助けたりもする。だが、この第69話のデデデはエスカルゴンに愛していたといった直後に、責任を押しつけてなぐり、逃げられれば追いすがり、またそのすぐ後で手をとりあって助かったことを無邪気に喜ぶ。

    山口伸明さんは原則恋愛抜きのこのアニメシリーズの中で、異種間のラブストーリーをふたつほど書いている。
    それは第16話 「私を愛したサカナ」と、 第27話 「恋に落ちたウィスピーウッズ」 の二つ。
    第16話と第27話のテーマは、それぞれ「かなわない恋」と「報われない愛」という切ないものだ。

    第56話 「わがままペットスカーフィ」も、スカーフィの側から見れば、なついた主人に捨てられる片思い。ついでにエスカルゴンとデデデを取り合う三角関係。
    第60話 「宝剣ギャラクシア!」は異種族どころか「生きた剣」を取り合っての三角関係。シリカがメタナイトの剣に片思いして振られるが、献身的に振る舞う話。
    また、オチが夫婦愛の第35話、第36話の「栄光のプププグランプリ」もこの人。プププグランプリは、メタナイトがカービィを思って献身する話。前半はフームがカービィを心配する話だが、後半はメタナイト、デデデ、カービィの三角関係。
    山口脚本だと片思いしている側は、献身的だ。あんのうん脚本だと片思いしている側が、相手をハンマーで殴ろうとするのにな。あんのうん脚本の第55話、第79話、第88話はそんな感じ。

    この第69話も異種間の「報われない愛」の物語に仕上がっている。
    どれだけ親密になろうが、愛していようが、デデデの身勝手で暴力的な性格が根本から変わるわけじゃないからな。
    第55話 「ある愛のデデデ」(脚本 あんのうん)の冒頭のエスカルゴンは、報われない愛に生きている。やや後の回の第69話がそっちへ行っても、唐突じゃない。
    山口エスカルゴンは27話でウィスピーウッズの苦悩を、デデデと一緒に「恋は盲目でげすなあ」と笑っていた。しかし、10ヶ月後に自分の番がまわって来たのだった。


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    デデデの暴力と接触場面のリストに付属する考察

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    「虫のおもしろ私生活」ピノッキオ編著を読んで

    私生活? まるで虫に公務があるかのような。
    虫のおもしろ私生活」は初心者用の図鑑と雑学本を兼ねた本だ。
    私生活の内容は、食事、交尾、育児など。

    子供向けではないようで、ふりがなはなく、捕食写真と交尾写真多め。
    小さいながらもカラスの死体でハエの幼虫が育っている写真などもある。
    中学生以上かな。高校生におすすめかも。

    写真をとった虫の正確な名前を調べる役には立たない。
    「地面」や「池」や「花の上」などのように、見つけた場所をたよりに本をめくり「トンボの仲間」や「ザトウムシの仲間」だと知る。運が良ければ、自分の探していた種の写真が載っているかも知れない。
    すみかが違うので「チョウの仲間」と「イモムシの仲間」をあえてわけていたりする。

    タイトル通り、面白い話がカラー写真や一コママンガ風挿絵付きで多く載っているので、虫や自然が好きな人におすすめかも。

    載っている面白い話の具体例をいくつか。
    昆虫でオスが幼虫に給餌をするのは、モンシデムシの仲間だけしか見つかっていない。
    アゲハチョウの仲間のメスは前足の先で、葉の味を見て産卵する。
    日本にもフンコロガシの仲間はいる。マメダルマコガネという。しかし体の大きさが2mmで、転がす糞のサイズも2~3mmというミニサイズ。見つけられる気がしない……。

    スマブラアミーボのデデデは桜井さんのデデデ

    スーパーマリオメーカー で、デデデのアミーボを使ってみた。
    お、桜井政博さんのデデデから、熊崎信也さんのデデデが出てきた。

    別の言い方をするなら、愛嬌のある顔立ちのデデデのフィギュアを使ったら、鋭い目つきのデデデのドット絵がゲーム画面に表示された。

    デデデは、ゲームによって顔が違う。
    最初に『星のカービィ』のゲームをつくった、桜井さんがディレクターを務めた『星のカービィ』のデデデは丸い目。『星のカービィ 夢の泉』のデデデは目がやや縦長だ。『ドクター スランプ』の頃の鳥山明の絵に似た、ちょっと昭和な感じ。まあドット絵時代のデデデは丸い目なのだ。
    ちなみにアニメ公式サイトのカービィの裏側>キャラクターがスゴイ!!で「ゲーム版」として紹介されているのは、『星のカービィ スーパーデラックス』のデデデ。

    桜井さんがディレクターの『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U 』のデデデに忠実に、デデデのアミーボは作られている。


    桜井さんはデデデの顔にあるこだわりを持っている。
    それは「目と目の間が狭い」というもの。ゲームによっては両目がほぼくっついている。
    アニメ版デデデも桜井さん監修なので、かなり目と目の間が近い。
    人間の目と目の間には鼻があるので、目と目の間は、目ひとつ分ぐらい空いている。
    当然、人間はこの目と目の間の幅が人間に近いほど、「整った顔」と認識する。
    で、『星のカービィ Wii』や『星のカービィ トリプルデラックス 』のディレクターは熊崎さんで、この人になってからだんだんとデデデの目と目の間が空いてきて、今では人と同じような比率に。まあこっちの方がイケメンではある。
    参考トリデラ公式サイト

    有名作品では、ドラゴンボールも目が縦に長いキャラが多いけど、鼻の分、目と目の間は空いている。


    実際のペンギンは人以上に目と目の間が空いている。下に参考となる記事をリンクした。

    【検証】猫耳とは逆に『人の耳』を猫に付けたら可愛くなるのか!?
    ↑この画像のペンギンは、ケープペンギンと思われる。
    目つきが鋭くて、目と目の間の空いた、トリデラのデデデってリアルペンギンにちょっと近づけたのだろうか。
    実は64デデデも三白眼ながら、目と目の間は狭い。
    ひかわ先生のマンガ版デデデも連載が長くなるにつれ、目と目の間が空いて来たみたいだ。表情がつけやすいのもあるだろうね。

    なお、桜井デデデによく似た顔の有名キャラクターは『オバケのQ太郎』。世代的に桜井さんがオバQのアニメを見ていても不思議はない。



    『チックンタックン』のチックンも割とデザインがデデデに近いキャラ。特に足。まあ、ペンギン、アヒル系統のキャラだってことではあるが。『チックンタックン』は石ノ森章太郎の漫画で、アニメ版が1984年~1985年に放送されている。



    ドン・キホーテのペンギン、ドンペンも目の間が狭いので、割と似てる。
    64の下村デデデは、つりめで菱形の口だから、バッドばつ丸が近いかな。


    単にペンギンを単純化したら似たってことなんだろうが。


    これはアニメ版を元にしたデデデのぬいぐるみ(絶版)


    スマブラのデデデの顔立ちや表情は、かなりアニメ版『星のカービィ』のデデデに近い。アニメ版のデデデの衣装替えです、それとフィギュア化の際にちょっと可愛くしました、と言われても納得する近さ。
    でもこれは話が逆で、アニメも桜井さん監修だから、桜井さんがイメージするデデデを、アニメスタッフに全力で作ってもらったんではなかろうか。アニメ版の後半のデデデのほぼ無表情の時の顔を見ると、顔立ち自体はきつくないことがわかる。
    ただ、アニメ版のデデデは性格がきついから、きつい表情の時が多い。スマブラだと表情がきつくなるのは、攻撃の時の一瞬とか、短い時間だ。
    第75話や第88話あたりの顔が、スマブラの顔にかなり近いかな。アニメのデデデは初期は眉毛に相当する目の上の黒い線が太かった。上のぬいぐるみもそう。だが、次第に細い線に。愛嬌重視のためと思われる。
    アニメのデデデについては、アニメとゲームの綱引きで、ゲームの側がじりじりと自分達側にアニメデデデを引き寄せた感じ。

    表情に関してはスマブラのデデデは、ほぼ後半のアニメデデデそのままで、その豊かな表情が今回のスマブラデデデの売りらしい。
    表情集もかねる、スマブラデデデの紹介ページ。
    なお、筆者はニコニコ動画のコメントで、この絵の8枚目と9枚目が二コママンガになっていることに気がついた。同じくコメントで、アニメ第61話「肥惨! スナックジャンキー」に言及している人がいた。まあ、デデデがWii Fitとかいうとそれを思い出すよな。

    体型について

    カービィの身長が20cmという古い公式設定を信じるなら、デデデは40cm(帽子のボンテン除く)なんだろうか。アニメやスマブラだと、周囲との比較で2m近くありそうな巨体に見えるんだが。

    実はペンギンの腕(翼)というのは人間が肩だと思う位置から少し下にはえている。そして腕は翼なので薄く平べったい。なので「なで肩」に見える。
    参考 旭山動物園 ペンギンの写真
      (ペンギンにも頭身の高い種類、低い種類があり、当然ながら小柄なペンギンの方がデデデに似ている)

    体長40cm前後(身長に直すと30cm程度)のコガタペンギン(フェアリーペンギン)。
    五頭身ぐらい?

    骨格を見るとちゃんと翼は肩から生えているのだが、ペンギンは実は首が長いので見た目の肩の位置がずれる。
    フェアリーペンギン | 展示一覧 | 標本室 | 展示カテゴリー | WEB MUSEUM[標本など各種展示] | 麻布大学

    スマブラデデデやアニメデデデは首が短いのか、人間と同じ所に肩がある。実はペンギン並みに首が伸びるデデデとかあったりしないよな……。腕も付け根の部分から太いようだ。ヒジも人間と同じ位置。
    上半身は骨格が大柄な人間の男性に筋肉と脂肪をつけたもの、と理解していいような気がする。
    特にスマブラデデデのアミーボは、前からの商品写真を見ても肩があるのがわかるが、後ろからだとさらにはっきりわかる。このポーズだとお腹の幅より肩幅が広く見える。
    実際の力士の体型も正面から見ると肩幅>腰幅なので、人間に近い体型なんだな。
    日本相撲協会公式サイト

    人間と違うのは、なめらかにお腹とつながる胸と、背中側の腰だろうな。
    人間の男性はたとえお相撲さんでも、背中側の腰はくびれている。まわしをまいていたり、着物をきているとわかりにくいが。
    アニメやスマブラのデデデの場合、背中も丸い。ペンギンもそうだが、まあカービィ世界の住人らしい体型と言えよう。

    トリデラやスマブラだとほぼ「雪だるま」っていっていいデデデの体型だが、桜井さんが去った後の『星のカービィ 参上ドロッチェ団』や『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』ではなで肩で背が高い、瓢箪型だった。実際のペンギンに近づけたのだろうか。アニメは胴体はやや洋なし型だが、前述したように肩が広いのでそれ込みで丸い。『毛糸のカービィ』のお話部分のデデデは、アニメに忠実な肩幅の広い洋なし型。ちょっと腕が短いようだが、結果としてスマブラのデデデに非常に近い。アニメやスマブラのデデデは腕をたらすと、指先が自分の足に触れるぐらいの長さ。
    『星のカービィ3』や『星のカービィ64』の下村さんのデデデは、全体的に横幅のある体型。

    下半身についてだが、実はペンギンの足の付け根はかなり体の上の方にある。鳥らしいね。
    歩くエンペラーペンギンのひな↓
    PENGUIN 皇帝ペンギン(南極大陸)4K (UHD)
    デデデの場合、足の骨格というものは考えないで、カービィと同じく、球体にスライドする大きな足がついているとするしかないよな。ゲームもアニメも。

    でもアニメでは演技の都合上、デデデが「ひざをつく」とか「腰をかがめる」とか「胸を張る」とかいう動作があるんだよね。
    うん、球体が変形している感じ。アニメーターって大変だな。
    スマブラデデデのお腹が寝そべるとたれるようにプログラムしたりと、ゲームプログラマーも大変だな。


    動作について

    ペンギンはよちよち歩きながら割とまっすぐあるけるので、走ると体が左右にふれるスマブラのデデデの動きはコミカルだなあと。アニメ版はすたすた歩いている。
    旭山動物園 フリーダムなジェンツーペンギン

    ペンギンは立って寝る場合もあるが、腹ばいになって寝ることもある。でもデデデがそうやって寝ていると、ずっこけ中にしか見えないだろうな。
    アニメデデデは仰向けの大の字という豪快な寝姿が多かったな。
    スマブラデデデの寝姿も、アニメと同じ大の字。そしてアニメと同じく、青いまぶたを閉じている。ちょっと笑ったような口で、気持ちよさそうに寝ている。
    ペンギンとアザラシの寝姿写真!/Web雑記

    参考資料 星のカービィプププ大全―20th Anniversary (ワンダーライフスペシャル)

    デデデの暴力と接触場面のリストに付属する考察

    この考察はデデデとエスカルゴンの間の暴力場面と、身体接触場面のリストに付属する。

    デデデとエスカルゴンの間の暴力場面と、身体接触場面のリスト(まとめ)
    デデデとエスカルゴンの間の暴力場面と、身体接触場面のリスト(第1話~第50話)
    デデデとエスカルゴンの間の暴力場面と身体接触場面のリスト(第51話~第100話)



    デデデとエスカルゴンの間の暴力表現が激しい脚本家は誰か、考察してみた。
    結論から言えば、吉川監督とあんのうんさんのどっちかだ。しかし、どっちかは、視聴者の意見がわかれる部分だろうと思われる。

    身体接触が濃厚なのは、吉川監督か国沢さん。デデデ達にとって不幸な出来事があるとすぐくっつく。国沢さんの方が「怖いから抱き合っている」で割り切れない甘さがあるから、視聴者の印象には残りやすいかも。
    例えば【デデデ】陛下と閣下のイチャイチャシーン集【エスカルゴン】という動画がニコニコ動画にあがっているのだが、サムネは国沢回で、他はあんのうん回と山口回。吉川回の場面は入っていない。

    暴力表現と身体接触がある回は共に、100話中64話なので、平均は共に64%。

    どの脚本家がどの回の人かは詳しくはウィキペディアを参照。


    吉川惣司監督

    担当話数は26話。
    そのうち、国沢さんとの共同脚本の回が3話あるが、0.5話としてそれぞれの回に加算して処理するのも数字が細かくなるので、監督の回として数えた。
    そのうち、暴力表現のある回は19話。73%
    身体的な親密表現のある回は17話。65%
    平均が共に64%なので、この数字だと少し暴力的なだけに思えるが、実際にアニメで見ると同じ話で何回も殴りまくったり、長々と抱き合ったりしているので、両方の場面の印象が強烈。

    主な回 第5話 「怒れ! ウィスピーウッズ」第49話 「アニメ新番組星のデデデ」第99話 「撃滅! ナイトメア大要塞」

    国沢真理子さん

    吉川監督との共同脚本の3話を除いた、担当話数は19話。
    19話のうち、デデデがエスカルゴンを殴っている話は11話。率としては58%。
    身体的な親密さの表現のある回は13話。率としては68%。
    平均が共に64%なので、平均より少しだけデデデが甘いのかも。
    この人が前期のエスカルゴン回の担当者だ。

    主な回 第42話 「メーベルの大予言! 後編」 第46話「真夏の夜のユーレイ! 後編」 第76話 「夢の恐竜天国! 後編」

    野添梨麻さん

    担当回15話中、デデデからエスカルゴンへの暴力がある回は、10話。66%
    身体接触がある回は9話。60%
    数字の上では、平均的な関係かな。

    主な回 第21話 「王女ローナの休日」 第59話 「最強番組直撃! 晩ごはん」 第72話 「ワドルディ売ります」

    山口伸明さん

    山口さんの担当回11話中、3話しか明確な、デデデのエスカルゴンに対する暴力場面がない。殴り率は27%
    身体的親密表現は、11話中6話で、単純計算で倍ある。くっつき率は54%
    最初の回である、第11話「宮廷シェフ・カワサキ」ですでに暴力とともに、身体的な親密表現がある。

    主な回 第56話 「わがままペットスカーフィ」 第69話 「ウィスピーの森のエコツアー」 第60話 「宝剣ギャラクシア!」

    あんのうんさん

    担当話数は16話。
    そのうち、暴力表現のある回は13話。81%
    身体的な親密表現のある回は9話。56%
    あんのうんデデデは数字上では、吉川デデデをも上回って暴力的だ。
    ただ、吉川デデデの「うれしい時も悲しい時も怒ったときも、とりあえずエスカルゴンを叩く」みたいな乱暴さとは違い、あんのうんデデデは自分の気に入らない言動をしたエスカルゴンを罰するために叩く。あんのうんエスカルゴンは、わりと常識的な発言が多く、視聴者の代弁的なツッコミをすることが多いので、同情されやすそう。
    「(ホーリーナイトメア社に)お金を払えば」と言って、殴られたりしている。

    身体的な親密表現はやや低め。主にエスカルゴンが、お世話係として触っている。
    あんのうん回に、デデデとエスカルゴンの添い寝場面はない。ほぼ最後の回まで抱き合わない。しかも、それはエスカルゴンが蹴られるオチがついている。
    逆に第78話「発進! エスカルゴン・ロボ」では、泣き寝入りしたエスカルゴンにカービィが添い寝している。デデデのつけたエスカルゴンの傷を、カービィが癒やす構図。
    吉川脚本や国沢脚本だと、両人にとって辛い状況で、デデデとエスカルゴンが抱き合って、お互いの存在に安心するような甘さがある。
    あんのうんさんは後期のエスカルゴン担当者である。

    主な回 第39話 「忘却のエスカルゴン」第88話 「はだかのエスカルゴン」第95話 「デビル・カービィ! 」

    まとめ

    数字で判断するとデデデ側からの暴力がきついのは、この順番になる。

    あんのうん>吉川惣司>野添梨麻>国沢真理子>山口伸明

    国沢回はエスカルゴンからの暴力がきついが、デデデ側からは実はそんなでもない。お互い直接的な暴力以外の攻撃が多いので、数字に表れにくいのかも。でもこれは国沢回のデデデとエスカルゴンは、相互に依存が深いからなんだろう。
    エスカルゴン側からの暴力は、あんのうん回と国沢回以外は、軽いものだよね。吉川回のは叩き起こしただけだし、山口回のは胡椒を投げての正当防衛、野添回のは食事に唐辛子を入れただけ。
    エスカルゴン側からの暴力は、感覚的にこんな感じ。

    あんのうん>国沢真理子

    身体的な親密表現の多さは数字上だとこうなる。

    国沢>吉川>野添>あんのうん>山口

    山口さんの毒のなさが際立つな。最後の回以外、仲良くしているだけなんだな。
    そしてどっちでも真ん中にいる、野添さんのバランス感覚がすごい。


    担当回が一桁の脚本家の方々のリスト
     
    担当回が早い順に並べた。
    一話や二話の人は100%や0%という極端な数字になってしまうので、判断しにくい。

    馬場キスケさん

    担当話数 3話
    第8話  キュリオ氏の古代プププ文明
    第18話 眠りの森のピンクボール
    第22話 孤島の決戦老兵は死なず!

    暴力 0%
    接触 33%

    22話でハイタッチしてるだけ。この人がデデデがエスカルゴンを殴る場面を書かなかった、唯一の脚本家ということになるのだろうか。
    子ども向け作品で、主人公に敵対する悪役コンビという常識的な位置づけ。


    下由あいさん
    担当話数 1話
    第9話 ロロロとラララ愛のメロディ
    第30話 カービィの謎のタマゴ
    第92話 ワドルディの食文化大革命

    暴力 66%
    接触 33%

    暴力は平均並み。9話はデデデがロロロとラララ(ついでにエスカルゴン)にひどい扱いをする話だし、92話はワドルディにひどい扱いをする話。9話と、30話ともに、デデデが子どもをお人好しの義理の親に育てさせる話だな。92話もデデデがワドルディを捨て子する第72話「ワドルディ売ります」(野添回)の続編だし、「主人公が捨てられる」話に関心があるのだろう。

    辰宮成彦さん
    担当話数 1話
    第20話 さよなら、雪だるまチリー

    暴力 100%
    接触 100%

    デデデが「息子にいうことを聞けと迫る父親役」を演じている回。
    20話目とかなりはやい時期の割にはデデデに愛嬌がある。デデデとエスカルゴンの抱き合っての寝姿を書いた最初の人。もしかして最後の人でもあるかな。他は片方がくっついている感じだから。


    吉田純哉さん
    担当話数 1話
    第58話 魔獣教師でお仕置きよ!

    暴力 100%
    接触 0%

    取引相手に笑顔を見せながら、部下をしめるという、大人なデデデ。
    この「笑顔で叩く」という表現は本編では、この人だけ。
    しかしこの「笑顔で叩く」は(おそらくは吉川監督脚本の)番外編に引き継がれる。

    柔美智さん
    担当話数 2話
    第71話  密着! ホエール・ウォッチング
    第94話 脱走魔獣ファンファン

    暴力 100%
    接触 100%

    この人のデデデとエスカルゴンの関係は、吉川脚本と中期以降の国沢脚本を合わせたような感じ。
    デデデは意図的にいじめにかかってはいない。しかし、エスカルゴンは殴られまくる。
    デデデが甘えて抱きついている場面もあれば、エスカルゴンが頼ってしがみつく場面もある。デデデ側が甘え倒し路線で、ややエスカルゴンが自立している印象がある。


    友永コリエさん
    担当話数 3話

    第80話 強壮! ドリンク狂想曲
    第84話 キュリオ氏の秘宝?
    第93話 カービィ感謝の日!
    暴力 100%
    接触 66%

    この人の場合は、二回ともデデデがエスカルゴンに抱きつく。そして泣くデデデを、エスカルゴンが慰めて手をあてている。吉川デデデとかは後期のOPのように、泣くついでにエスカルゴンをなぐるよな。ひかわ先生のまんがだと、泣くデデデを気遣うポピーは時々あった。93話自体、影響があるのかも。この人のデデデは寂しい人らしいので、そうなるのかな。甘えるデデデと面倒を見るエスカルゴンの、ぱっと見は国沢脚本に似ている関係。ひかわ先生のまんがだと、泣くデデデを気遣うポピーは時々あった。93話自体、『星のカービィ デデデでプププなものがたり』15巻 第3話のデデデが「大王感謝の日」を復活させたり、「カービィ感謝の日」をつくろうとする話が元と思われるので、ひかわ版の影響があるのかも。

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    手塚治虫の『魔神ガロン』が、吉川惣司監督で2013年にアニメ化

    この前、手塚プロダクションの公式サイトを見たついでに、「吉川惣司」でサイト内検索をかけた。
    どっちかいうと過去の仕事が出てくることを期待していたんだけど、ウィキペディアにも未記載の最近の仕事が出てきて驚いた。
    過去の仕事というのは例えば、「孫悟空が始まるよー 黄風大王の巻・・・」の、
    作画:山本繁、吉川惣司
    とか。でも過去の仕事についてはこの一件だけ。

    最近の仕事というのはこれ。2013年のもの。

    手塚治虫の名作キャラクターを大阪芸術大学がアニメ化!
    大阪芸術大学キャラクター造形学科 × 手塚プロダクション 

    プロデューサー 高橋 良輔(大阪芸術大学キャラクター造形学科 教授)
    監督・脚本 吉川 惣司(アニメ監督・脚本家)
    共同制作アニメ「ガロン」


    っていうか、一般人は見られないのかよ。
    幻の作品過ぎる。
    大阪芸術大学の生徒さんはあの「星のデデデ」や「星のフームたん」の監督であり、脚本家である人の作品で学べるのですか。すごく勉強になりそうですね。
    いやいや、皮肉じゃないよ。「星のデデデ」自体が「アニメの作り方を解説するアニメ」なんだし、理屈でアニメを把握している人の作品は、学ぶにはいいんじゃないかな。

    プロデューサーの高橋 良輔さんは同じく虫プロ出身者で、『装甲騎兵ボトムズ』の監督として吉川さんと一緒に仕事をしている。

    この作品は冒頭の3分だけ公開されている。

    TezukaOsamu.net/jp > アニメ・映像wiki > ガロン

    絵コンテ担当者の名前がないが、吉川監督本人かな。
    この三分の映像では断言できないが、断片的ながら、過去の吉川惣司絵コンテ回およびそうといわれる回を見るに、アップカットの少ない人みたいなんだよね。だから可能性はあるんじゃないかな。とはいえ、原作もロングショットが多いから、原作通りなのかもしれない。

    参考 ■[アニメ]『あしたのジョー』の語られざるアクション演出家、吉川惣司

    この作品が「学生の教材」として作られた理由は、新聞に掲載されたインタビューなどで知れる。

    簡単に言えば「学生が勉強のために、合法的に二次著作物をつくれる原作を学校が用意しました」だな。

    「一度完成した作品を第三者が勝手に再編集するのは普通はありえない」

    2013年4月24日 朝日新聞(兵庫県) 抜粋

    うん、ニコニコ動画やYouTubeで、そういうのたくさん見たことある気がするけど、その通りだね。

    この試み自体は筋がとおっている。
    いわゆる「二次創作」については「コミケは新人の勉強の場だ」みたいな主張もされるが、著作権について学ぶのもいずれ著作権者たることを目指す学生には、重要なことだろうから。
    このアニメをいじることで、手塚作品とロボットアニメの勉強ができる、ということになる。ついでに吉川作品と高橋作品の勉強ができそうだな。というか、高橋プロデューサーは教授なんだから、教授の作品を学生が学ぶのは当然だ。
    吉川監督は『星のカービィ』の時と同じように「動かしました」みたいなことを述べている。アメリカに憧憬と反感を抱いているのも相変わらずのようだ。

    参考 2013年4月18日 朝日新聞夕刊 抜粋

    この件に関しては朝日が一番詳しく報道したのね。


    原作マンガ『魔神ガロン』解説

    さて、手塚治虫の『魔神ガロン』というのはどんなまんがだろうか。冒頭部分のみあらすじを書いておこう。

    ある日、空からなぞの隕石が落ちてくる。その隕石は何かの部品で、俵教授は助手の敷島博士と協力して、それを組み立てる。しかし、完成した巨大な人造人間、ガロンは動かない。教授は孤独に研究を続け、ついに10年目に動かすことに成功するが、教授は暴れ出したガロンの下敷きになって死んでしまう。俵教授は「夢でガロンを正しく使わないと人類を滅ぼすと、宇宙人に告げられた」というメッセージを敷島教授に遺した。敷島博士は俵教授の遺言を元に、ガロンと一緒に地球に落下してきた、ピックを探し出す。ピックはケン一という少年の弟として、10年間暮らしていた。しかしタランテラという、悪人の部下達が強引にガロンを動かして、ガロンは再び暴れ出す。今回は街を壊す騒ぎになり自衛隊が出動。敷島博士の見つけたピックのいうことをガロンは聞いて、正常に動く。だが東大の教授達はガロンを危険視し、ガロンとピックを分解しようなどと言い出す。しかしタランテラとそれに協力する悪女がピックをさらおうとし、ガロンはまた暴れる。この時は、敷島助手の活躍とガロンの力でピックを取り戻し、タランテラを退けることができた。なんとか権力者達を説き伏せ、ガロンは人の役に立つこともするということを、敷島博士は証明しようとするが、タランテラがまたもガロンを奪おうとする……。


    『魔神ガロン』の主要な物語は、冒頭でも明言されている巨人伝説。そして、『聖書』の創世記だ。

    聖書では神は、正しい者が10人いたら、ソドムとゴモラの街を滅ぼさないと約束したという。しかし街を天使が訪れたところ、街の男達は男性の姿をして街に降りた、二名の天使と強引に寝ようとする有様。天使達を泊めてくれたロトの一家しか正しい者がいなかったので、天使は彼らに逃げるように伝え、神は街を滅ぼした。

    参考 ウィキペディア ソドムとゴモラ
    神の怒りに触れて滅ぼされたソドムとゴモラ

    この「神の使いに対する扱いで、人間が善か悪かを判断し、悪と判断されれば滅ぼす」という物語は高河ゆんの『アーシアン』や上遠野浩平の『ブギーポップは笑わない』でも使われた。
    さらに、心臓が体の中にない巨人という童話もある。

    参考 体の中に心臓を持っていない大男の話


    これは『ドラえもん のび太の魔界大冒険』でも使われたパターンだ。
    ただこの場合の心臓は「急所」であって、「良心」ではない。
    弟や妹のいた手塚にとって「良心」とは「幼い弟(妹)のようなもの」なのだろう。
    この物語のピックは「巨人の良心」であるとともに「主人公の弟」でもある。
    この『魔神ガロン』の物語は、兄が弟と協力して妹を守る物語とも読めるのだ。

    『魔神ガロン』に主人公側のヒロインはいない。あえていえば、ピックだ。

    手塚の『魔神ガロン』に主要なキャラクターとして登場する、女性キャラクターは4名とみていい。バケネコとよばれたバーミケネコのアネゴ、白狐のおコン、魔女のガゴール老婆。そして幼女のチマ。
    前者の三人は味方にはならない。
    彼女らは皆人間だが、手塚先生は「変身する女性」とか「動物花嫁」とか大好きなので、動物名をつけてみたり、変装させたりしているのだろう。その例は『ネオ・ファウスト』の獣に変身する女悪魔メフィストや『38度線上の怪物』の結核菌の美少女や『未来人カオス』の背中に虫の羽のある美女。人造幼女の例としては『鉄腕アトム』のウランや『ブラック・ジャック』のピノコ。

    以下に『魔神ガロン』の敵側の人間関係を簡単に記す。
    ナントカ編というのは、敵が誰かで話をわけ、筆者がつけた見出しである。

    タランテラ編
    タランテラという怪人が敵の親玉。手下は男ばかり。バーミケネコのアネゴが敵側の一味で、ピックをだまそうとする。

    海龍王編
    海龍王という科学者が敵。敵側は全員魚の仮面をかぶっている。特に手下のキャラを立ててはいない。手下は男女ともにいる。ケン一少年が魚の仮面をかぶって、女装する場面がある。

    黒岩社長編
    密輸犯である、黒岩組の社長が悪の親玉。かたわらにいるのは、男装して登場するギャング、白狐のおコン。

    X大佐編
    ゴースト博士という悪の科学者がかたわらにいる。
    黒岩が恩義を感じて助けてくれる。

    ゾロモン大王編
    悪い大王が治めている国の話。その王子が主にケン一達に敵対する。ガゴール老婆という魔女が、大王のかたわらにいる。老婆の姿は実は変装で、正体は若い女。ベーリング博士という、この国に武器を輸出している人物の手下。

    ブッド博士編
    インディアンの科学者。チマという幼女とピックが人違いされて、大人にならない人造人間のピックが幼女のふりをする。

    タイムマシン編
    特に悪の親玉はいない。敵は米軍。ピックが自分を犠牲にして、人類は助かる。


    マンガ『鉄腕アトム』の「アトム対ガロンの巻」

    ガロンは『鉄腕アトム』にも悪役として登場した。
    参考 鉄腕アトム 11 Kindle版


    『少年』昭和37年10月から連載が始まった「アトム対ガロンの巻(原題:アトム対魔神)」は、これまで紹介した作品とは少し雰囲気が異なる。
     ある日地球に謎の巨大ロボットが落ちてくる。実はそのロボット・ガロンは、異星人が星を改造するために作った惑星開発用ロボットだった。(中略)猛烈な勢いで地球を死の星に改造し始めたガロン。アトムはそれを止められるのか!?

    手塚マンガあの日あの時 第7回:アトムの予言─高度経済成長のその先へ─

    解説無しのあらすじはこちら
    TezukaOsamu.net/jp > マンガwiki > 鉄腕アトム

    この話はアニメ化もされている。

    アニメ版『鉄腕アトム』19 アトム対魔神 1963/05/07 演出:手塚治虫

    誤って地球に移送されてきた惑星改造ロボット、ガロンに対して、人類は核攻撃を考える。しかしアトムは別の方法でガロンに対抗する。

    この当時なら、吉川監督はアニメーターとして虫プロにいたはずである。

    「アトム対ガロンの巻」は48ページの短編なので、登場人物は少ない。
    主人公はアトムで、お茶の水博士とのコンビで話が進む。
    『魔神ガロン』に登場したタランテラの役割を果たす、天川博士という人物が登場する。手段はともかくこの人物の目的は、宇宙人の科学力や宇宙の神秘を知りたいという科学者として純粋なもの。魔神をコントロールできずに死ぬ、天川博士の物語は少しだけギリシャ神話のパエトンの物語に似ているか。

    この話にヒロインは存在しない。ピックも登場せず、ガロンは命令に従い地球を人類の住めない星に改造しようとする怪物である。
    ガロンを水爆で破壊しようとするのは「防衛軍」とされている。日本の軍隊なのか、国連軍なのかはわからない。この「防衛軍」の代表者らしき人物には名前がない。

    「アトム対ガロンの巻」は、冒頭で漁師と魔神の話を例に挙げ、これは「化け物に知恵で勝つ話」だと作者の手塚治虫が明言している。これ以外に、民話や神話の例を挙げるとするなら、『三枚のお札』のやまんばをだます話や、『長靴をはいた猫』の猫がオーガをだます話、『オデュッセイア』のオデュッセウスが巨人のポリュペーモスをだます話だろう。


    アニメ版『ガロン』の冒頭の三分を分析してみる

    冒頭におかれているのは、ガロンが地球に落下し、夜、暴れ回る場面だ。
    話はそれから200年後、ヒロインのサラがドクターと会話している場面にうつる。
    このアニメのヒロインのサラとフームが似ているのは同じ吉川監督だからだろう、という意見はツイッターを「吉川 ガロン」で検索したらいくつかみかけた。
    なお、吉川監督は過去に、『ムーミン』(1969年、フジテレビ 虫プロダクション) の絵コンテを担当したそうなので、フームの目つきは、ミイから来ているのかもしれない。ただし、ミイには下まつげはない。
    吉川監督は『星のカービィ』公式サイトのインタビューで、『ムーミン』に言及している。
    カービィを手がけた監督に直撃!アニメ界の大御所、吉川惣司監督インタビュー

    冒頭の何か秘密を知っていて、「ドクター」とよばれる太った眼鏡の男性は、『星のカービィ』のチップ先生に気のせい程度に似ている。この役をつとめたのは、『魔神ガロン』では若い敷島博士、「アトム対ガロンの巻」ではお茶の水博士だった。両者の中間ぐらいの年齢?
    パソコン画面で力説しているニュースキャスター? はカスタマーに似ているかな。

    メアリー・アニングの冒険 恐竜学をひらいた女化石屋』 (朝日選書) という著書が吉川監督にはある。この伝記自体が「アニメーターが女性科学者と組んで、過去の女性化石研究者の埋もれた真実を探す物語」なのだ。
    この本については、瀬名秀明の書評がアマゾンの試し読みで読める。
    科学の栞 世界とつながる本棚』(朝日新書)
    この書評には、『メアリー・アニングの冒険』はアニメ化されなかった、アニメの解説本というように書かれている。『ガロン』はメアリー・アニングのアニメ化という側面を持つのかもしれない。

    『ガロン』冒頭の、ガロンの真実を最初に発見したが、男性が握る権力に葬られた女性科学者の物語はこのあたりからだろう。メアリー・アニングはおおざっぱに言って200年前の人物だ。
    『メアリー・アニングの冒険』の出版は『星のカービィ』の放映終了後まもなくだが、執筆期間から考えて、このメアリー・アニングが真実を追究する女性ヒロインとして、フームに先行する。フームの部屋に化石が飾られているのは、このメアリー・アニングからだろう。
    小説版『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』にもペールゼンがキリコの真実を追究したり、女役が真実を追究する話がある。

    何らかの真実を追究する、というのはテレビシリーズ版『装甲騎兵ボトムズ 』のように、物語の典型ではあるのだけれど、『魔神ガロン』は男性科学者が真実を追究する話だった。「アトム対ガロンの巻」では天川博士は人の手にはおえない真実を追究したために、自滅する。手塚作品には「女性科学者」という登場人物は少ない。「男性=理論 女性=魔性」という方なのかと。
    『ガロン』の場合は、ジャーナリストが真実を追究するのに近い展開になりそう。

    たぶん、ヒロインのサラがドクターとよばれている、太った眼鏡の男性と二人組になり、真実を追究する過程でガロンやピックと出会い、サラがピックの保護者になり、国家権力とガロンの力を背景に対決し、奪われたピックを取り戻すのだろう。
    と、『星のカービィ』の第1話と第6話を、まぜたような展開を予想してみる。

    で、アニメ版のガロンには隠蔽を謀った権力者が、回想される200年前以外に登場するのだろうか。画面写真を見るに米軍の将校かなにかと思われる人物がいる。これはガロンを破壊しようとする人物なのだろう。
    タランテラあるいはそれに相当する悪の組織は、画面写真を見るに登場しないらしい。同じく、「敵側の悪女」とか「敵側の悪の博士」とかも登場しないらしい。
    20数分のアニメだからか?
    それとも画面写真は前半のみで、後半があったりするのだろうか。

    あらすじでふれられている「ガロンの正体」だが、これはアトム版の「惑星改造ロボット」というものではなく、『魔神ガロン』の「宇宙人の使者」という路線だと思われる。画面写真に「ヤコブの梯子」が映っているからだ。これは別名「薄明光線」「天使の梯子」。雲の切れ目から太陽光が帯状に伸びて見える、自然現象の一種だ。


    皮肉なことに人類文明の崩壊によって、失われつつあった自然が命を吹き返し、地球を再生させようとしていた。


    あらすじのこの部分を見るに、このアニメ版『ガロン』は、マンガ版『魔神ガロン』だけでなく、マンガ版『鉄腕アトム』「アトム対ガロンの巻」やアニメ版『鉄腕アトム』の19話を下敷きにしつつ、自然保護を訴えようとしているらしい。

    なお、見た学生によるとこうだ。
    「ハッピーエンドでしたが、自分で作るなら悲しい別れにしてみたい」
    2013年4月24日 朝日新聞(兵庫県) 抜粋
    原作は悲しい別れだったし、それもいいだろうな。それが許されている教材なのだから。

    しかしハッピーエンドというのは、サラ達の善良さに免じて、ガロン達が天へ帰って行き、美しい地球が残されるとかそういう終わりなんだろうか。