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    『ニッポンFSXを撃て』 手嶋龍一 を読んで

    『ニッポンFSXを撃て』 手嶋龍一 を読んで

    『ニッポンFSXを撃て -たそがれゆく日米同盟-』
    この本は冷戦終結後、日米貿易摩擦が激しかった1980年代半ばを舞台にした本です。
    登場人物の多い小説という感じで、面白く読めます。
    日米同盟に基づき、アメリカが日本と共同開発することにした、FSXという戦闘機。しかしこの計画がアメリカの進んだ軍事技術を日本に渡すことになるのではないかと、アメリカで反対論が持ち上がる、というのが本書の筋です。
    主な舞台はアメリカ議会です。著者のスタンスは親米です。

    この物語の主人公に相当する人物は、「アメリカには、日本にアメリカの技術を売り渡そうとする売国奴がいる。日本はアメリカの進んだ技術を吸収して、やがては軍事産業の覇者になるつもりだ」と考えている人物です。
    うーん、今なら相手は中国ですか。まあ米中同盟なんてないので、事情はかなり違うんですけれどね。米韓同盟はあるのですから、韓国相手でもこういうどこまで技術を与えるか与えないかの問題が、論じられているのでしょう。

    この当時レーガンからブッシュ(父)に大統領が代わり、本書中には「ブッシュはレーガンほど日本に甘くないのではないか」という心配が出てきます。日本の親米派って米国大統領が変わるたびに、こういう心配をしているのですね。この前の米国大統領選挙の時も「もし反日親中のクリントン(嫁)が、大統領になったら、日本が終わる」とか心配していた人がいました。
    実際ブッシュ父、そしてその後のクリントンは日本に厳しかったので、米国大統領が誰かは日本にとって大きな問題ですが。アメリカの誰かも最近「オバマはブッシュ(息子)ほど日本に甘くないから」とか日本に忠告だか、警告していたような。日米同盟強化的な意味で、小泉首相の存在は大きかったんですね。

    あと、米議会の議論が「技術流出」「貿易摩擦」に終始していたのかもしれませんが、この本では重要な論点が伏せられています。
    三菱重工が国産戦闘機を追い求める理由を、単にゼロ戦の栄光をもう一度や、技術立国の誇りに求めています。

    しかし、装備の国産化は「米国と戦争になった時のために」必要なことでもあるのです。

     それは、1970年7月16日、中曽根康弘防衛庁長官時代に出された。「装備の生産及び開発に関する基本方針等」と題されたもので、「防衛の本質からみて、国を守るべき装備はわが国の国情に適したものを自ら整えるべきものであるので、装備の自主的な開発及び国産を推進する」とある。つまり、装備の国産化を謳ったものだ。

     戦前、わが国は米国を仮想敵国としながらも、その米国から兵器などの輸入をし続けていた。やがて米国は日本に対する武器や石油の輸出をストップ、それが、開戦の原因となったことは周知の事実である。

    民主党は見習ってはどうか、40年前の貴重な「事務次官通達」
    2011.02.28(Mon)  桜林 美佐



    「米国と戦争するために、米国の技術がほしいです」
    このアメリカの戦闘機を日本が改良し、生産、使用する計画って、つきつめればそういう話になりますよね?
    アメリカも日本もそこまでは口に出さなかったし、実際そこまでの心配は当時も現実的でなかったでしょう。

    そしてこの本には、アメリカが日本をけん制するために中国に接近する話があります。しかしこの本では「親米派」と対比されるのは「対米自立派」でしかなく、日本の「親中派」というのはここにはいません。

    兵器の国産化は対米自立のためには、必要なことです。ですが、なんで自立したいの? と聞かれると困ってしまうのが、日本の現状なんでしょうね。
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    常識「日本の安全保障」 を読みました。

    常識「日本の安全保障」 『日本の論点』編集部編

    近年の日本の安全保障に関する議論を、幅広くまとめた本です。
    何か事件が起こり、国会で議論されて、法が整備される、その流れを簡潔に追っています。右翼っぽくも左翼っぽくもない感じの論調ですね。

    2003年出版の少し古い本ですが、初心者向けFAQとしてはまあまあかもしれません。

    短いですが原発テロの恐怖とは、なんて章もあって、この時期に原発テロにもっと備えをしておけば、今助かったのにと思わずにはいられません。
    政府の対応マニュアルによると、原発テロにはまず警察が対応することになっているそうです。しかし、原発が破壊されたらどうするかまでは、想定外だったみたいですね。

    湾岸戦争後の日本の安全保障。そしてそれに、米国がどう口を出してきたか。
    そもそも日本に武力攻撃があった場合、日本は防衛作戦に徹し、米軍が「打撃力の使用を伴うような作戦」を展開するという枠組みなら、口を出されるのは、しょうがないですね。

    しかし、石破茂防衛庁長官(当時)が敵基地攻撃も検討すべし、といったのを抑えての小泉純一郎首相の2003年3月28日の参議院予算委員会の答弁って、「日本は米国の保護領だから、防御に徹すればいい」としか聞こえません。

    米軍が核兵器を持ち込んでいるというのは、この時期にもう「常識」でであったようです。日本政府が認めていないだけ状態でした。先日岡田が密約をばらしたのは、公然の秘密を公然の事実にしたんですね。

    そんなものなのかもしれないからこそ、日本のこれからをいろいろと考えていきたいですね。

    「自衛隊の誕生」を読みました

    「自衛隊の誕生」日本の再軍備とアメリカ 増田弘著
    近年公開されたアメリカの公文書を元に、自衛隊の創設を陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊にわけて追う本です。
    手軽なサイズですが、内容は書類を束ねたような数字の多い本で、正確なのでしょうが、人の動きはつかめません。

    ネットで「戦後日本人に戦死者がいないというのは、うそだ。朝鮮戦争で一人死んでいる」という話を聞いたことがあったのですが、この本にも書いてありました。
    朝鮮戦争勃発直後に、日本の掃海部隊が活躍したのが、海上自衛隊創設のきっかけだそうです。彼らのうちに、死者が出ました。
    自衛隊創設前のことで、「自衛隊に戦死者はいない」というのは、もしかしたら正しいのかもしれませんが。
    この日本軍?が米軍に協力した話は、当時極秘にされました。


    この本を読むきっかけのひとつは、
    航空自衛隊旗はなんで鷲のマークなのか」という疑問です。
    陸上自衛隊と海上自衛隊の旗は、今回の東北大震災でもテレビに映ったように、「旭日旗」です。
    これらは戦前の陸軍、海軍と同じです。

    自衛隊の飛行機に描いてあるのも、戦前とほぼ変わらない日の丸です。ですから、私はこの鷲の旗をテレビなどで見たことはないのです。これはウィキペディアではじめて見ました。
    鷲じゃなくて鷹じゃないかという疑問もありますが、ともかく私の疑問というのは「アメリカ空軍のマークが白頭鷲だから、日本の航空自衛隊のマークも鷲だか鷹なんじゃないのか?」ということでした。

    航空自衛隊は戦後創設されました。
    戦前の日本に空軍はありません。
    零式艦上戦闘機(ゼロ戦)は、海軍の主力艦上戦闘機です。
    その時に何があったのか?

    直接、航空自衛隊の旗の疑問に答えてくれる本ではなかったのですが、どのように航空自衛隊が誕生したのかはわかりました。
    この本では「陸上自衛隊は米軍主導で誕生し、逆に海上自衛隊が旧日本海軍関係者主導で誕生したのに対して、航空自衛隊の誕生は、旧日本陸軍航空関係者と米空軍当局との共同合作によるものといえる。」と書いています。

    ソ連の飛行機が1953年の日本のお空に飛んできて、日本政府が米軍に頼んで迎撃してもらったのが、航空自衛隊創設のひとつの追い風だったんですね。
    それはたしかに航空自衛隊がないとやばいかも、って、こういう本を読むと想像以上に日米関係は軍事同盟なんだと思い知ることになりますね。

    日本が軍備を放棄したのも、平和憲法も戦勝国のアメリカが敗戦国の日本に求めたものだ。
    だが、アメリカは朝鮮戦争開始後一貫して、同盟国である日本に軍備強化を求めている。

    こういう論調って最近よく見かけるような気がしますが、この本もその流れに沿った本です。