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    闘将!! 拉麺男(たたかえ!! ラーメンマン)2 JCS(4)

    ユング派の昔話論とかを読んでいたら、なんか作風が「象徴の解釈」の方向にずれました。気が向いたら、「構造の分析」の方に行きたいです。



    鴉群拳法を守れ!!の巻

    [あらすじ]

    ラーメンマンとシューマイが山道を歩いている。
    シューマイの前で、ヘビとカラスが戦い、カラスがヘビをつかんで去っていく。
    ラーメンマン達は、陳老師に重大な極秘任務として、蒼鴉霊山(そうあれいざん)に登れ、と言われたのだった。
    血の臭いがする、とラーメンマンにいわれたシューマイは、気にせずしげみの中に入っていく。
    すると、そこにはたくさんの拳法家たちが倒れていた。
    酔八拳酔夢(すいはちけんスイム)、青龍拳竜王(せいりゅうけんりゅうおう)、死門拳丹龍(しもんけんタンロン)、みな達人ばかりである。
    そこへ、襲いかかるカラスの大群、と思いきや、人間の化けたニセカラスが三羽が、ラーメンマン達の前に現れる。
    彼らは鴉群(カラス)拳法という、ハンググライダーにのって闘う拳法の使い手だった。
    ラーメンマンは、その一人を飛燕旋風脚で地にたたき落とし、次の一人を命奪崩壊拳で倒すが、最後の一人が森に火を放つ。
    シューマイに道着を着せて、ラーメンマンは彼を逃す。
    ラーメンマンが死んだと思い、泣くシューマイの背後に一人の老人と、背の高い若者が現れる。
    どうやらこの二人は、ラーメンマンを試したらしい。
    ラーメンマン達のかたき、ととびかかるシューマイを若者はあっさりと蹴り飛ばす。
    若者は老人を「じい」と呼び、わたしには護衛などいらない、というが、老人はあなたの父上さまから、あなたの身の安全を守る役目をまかされたのだ、と譲らない。
    その時、土の中から声がして、土中に逃れていたラーメンマンが姿を現す。
    老人は「合格じゃ」といい、わけを話し始める。
    玉王が生きていて、彼が鴉群拳の極意を狙っているのだという。
    だから、鴉群拳法青椒肉絲(チンジャオロースー)の息子で、継承者の「春雨」と鴉群拳の極意の書かれた掛け軸を、春雨の母の待つ蒼鴉霊山山頂の隠し道場まで護衛してくれ、という事だった。
    ラーメンマンは了承し、シューマイも春雨に挨拶するが、春雨はそっぽを向いてしまう。
    その時、最後に残った鴉群拳法の使い手が、春雨に襲いかかる。
    じいは春雨をかばい倒れる。ラーメンマンは玉王に寝返っていた相手を、破裏拳(ハリケーン)で倒す。じいはそのまま死ぬ。
    一行は道を急いぐが、守られているのが嬉しくない春雨はじぶんひとりでも闘える、というようなことを言う。
    そこへ上空から刺客が二人、歯が刃物になった下駄で襲いかかって来る。
    ケープを破かれる春雨を見たラーメンマンは、間一髪、百歩神拳で敵をまっぷたつにし、春雨を救う。
    怒りのおさまらない春雨は死体を踏みつけにするが、ラーメンマンはその顔を平手で打ち、闘って死んだ者は、手厚く葬ってやるのが、武道家としての礼儀だという。
    その夜、ラーメンマン達は新たな刺客に襲われる。
    妻子がいると命ごいをする相手に容赦なくラーメンマンがトドメを刺したのを見て、春雨はひどい、と非難する。
    あなたはただ殺人を楽しんでいるだけだ、という春雨に、ラーメンマンは己の体中に刻まれた傷あとを見せる。
    この傷は、夜になると死んだ者の恨みの念で浮かび上がるのだという。
    そして左胸の傷が特にひどいが、死んだ者たちのためにあえて治療はしないのだという。
    春雨はその話に感動して泣き、ラーメンマンに敬意を払うようになる。
    そして山頂でラーメンマンたちと、玉王は対峙する。
    そして、玉王は実は巨大ロボットだったラーメンマン打倒養成所(ラーメンマン・キラー)で、春雨の母上を叩き殺す。
    怒りに燃えるラーメンマンは、巨大ロボに立ち向かうが、ラーメンマンの技・クセ・思想など、特徴を全て100倍の力につくってある相手には、歯が立たない。
    苦戦するラーメンマンを見て、春雨は全てが100倍ならラーメンマンの弱点も1000倍になっているかもしれないと、思う。
    ラーメンマンの弱点は、敵を思いやるやさしさだと、春雨はラーメンマンロボに、キミはそれだけのすばらしい力をうけつぎながら、その力をただ人殺しの道具に使うつもりかという。
    それを聞いたラーメンマンロボの動きが止まり、春雨は掛け軸を使って金色のハングライダーを出し、太陽を隠して、夜をつくりだします。
    そして胸の傷をラーメンマンが落陽紅脚で攻撃し、ラーメンマン・キラーを倒します。
    春雨は空を飛びながら、鴉群拳法を守ることを、亡き父母に誓う。


    [あらすじ終わり]

     [解説]




    春は若さを、雨は感傷的な情緒を表します。
    高慢な青年が心の師にあって成長するという、美しい物語です。
    特に闇色であるはずのカラスが金色に光輝いて飛び立つ場面は、感動的ですね。
    黄金は西洋の伝統的な物語において、最高のもの、完成された姿を意味します。
    だから、錬金術師は鉛から金をつくろうとするわけで、あれは「金儲け」の話だけではなく、金属の変化に、人の心の成長を重ねているとか、そういう象徴的な意味もあるのです。
    そういや、キン肉マンII世のケビンも、金メッキで輝いて空飛んでいたような。

    今回の主な舞台は「暗い森の中」と「太陽の輝く山の頂上」です。
    素晴らしい対比ですね。苦悩を突き抜けて、歓喜に至るって感じです。

    光と闇の対立が今回のテーマでしょう。
    光の中で見えないものが、闇の中に浮かんで見える、という谷山浩子の歌がありました。この鴉群拳法の話は、夜の森の中で人生の暗い面が明らかになる、そういう話です。

    生きることには、残酷さがつきまといます。他者との対立を体験せずに済む人生などありません。
    「敵に襲われる」と「敵を倒す」ことで、その「残酷さ」を表現するのがこのまんがです。

    他人は自分に対して残酷である、それでも他人には礼を尽くせ。
    自分は他人に対して残酷である、それでも他人の苦痛を思いやれ。
    というのが、ラーメンマンが春雨に教えたことなのでしょう。

    ラーメンマンが火の海で死んだと見せかけて、実は土中に隠れていたというのは、彼の不死性を表しています。炎に焼かれ、土から蘇るのですね。

    ラーメンマンロボの目にヘビがからみついてるのは、怨念の象徴であるということと、それが命なき存在(死体・人形)であることを意味しているのでしょうね。
    そして物語の冒頭の山道で、カラスがヘビと戦い、勝利していることは、これとつながっています。

    カラスは知恵のある鳥です。鳥が多くのおとぎ話で、夢想を象徴するなら、良い意味での想像力を開花させる者、それが春雨でしょう。

    そして春雨が山の頂上から飛翔して、これまでの自分を越えるのですね。
    しかし、再び地上に降りてくれば、厳しい現実が待っているということを、最後のラーメンマンの表情は表しているのです。

    春雨は自力ではなく、ラーメンマンの手助けという形で、父母の仇を討っています。そんな彼のこれからの道は、決して平坦ではないでしょう。

    ゆでたまご先生は空飛ぶ夢想家ですが、自己のそういう一面を嫌い、肉体という自然に執着することで、現実という地上への道を探っているようなところがあります。言葉と夢想はサポートとして有効である、という人なのでしょう。

    頭だけの悪意、というのが今回の玉王らしいです。そして心なき存在を操る。
    そして操られた側は「心」に目覚め……前回とテーマがかぶりますね。
    これはきっと「思考」機能と「感情」機能の対立というヤツなんでしょう。

    「ラーメンマン打倒養成所」が動く件についてですが、たぶん、ゆで先生はそういう間違いのごまかし方をする人なのです。
    「ラーメンマン打倒養成所」では「ラーメンマンを打倒する者を養成する所」という意味にはどう読んでもなりませんが、「ラーメンマンを打倒する養成所」という意味にはなるかもしれません。なので、養成所がラーメンマンを打倒するために立ち上がるのです。


    [解説終わり]
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