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    グルジアの大統領が大相撲観戦

    大相撲の初日をテレビで見ていたら、グルジアの大統領が観戦していました。
    楽しげに相撲を観戦する、グルジア大統領は外交のために日本を訪れたのだという解説がなされました。
    その少し後にグルジア出身の力士(黒海)が、ロシア出身(露鵬)の力士と対戦するために出てきました。
    珍しい外人力士同士の対決です。
    たぶん、日本対グルジアにすると、どっちが勝っても、外交に影響しそうな気がしたので、相撲協会がロシア対グルジアにしたんでしょう。
    ロシアとグルジアはお隣同士です。
    グルジア力士の方が勝ちますように、と日本人の観客全員(露鵬ファンのぞく)が願ったに違いありません。
    相撲と言うより、レスリングのような戦いでした。
    両者ともにおそろしく真剣にぶつかりあい、グルジア力士の方が強引に相手を寄り切っていました。
    大統領の面前で負けられないと思ったのでしょう、火事場のクソ力を現実に見たようなぎりぎりの勝ちでした。
    観客は大いに沸いていました。
    39歳の若い大統領は満面の笑みを浮かべながら、勝ったグルジア力士と話すために観客席を去っていきました。
    これであの力士は国の英雄として、大統領に会えるでしょう。
    相撲協会も、ほっとしたんじゃないでしょうか。

    グルジアのサーカシヴィリ大統領の来日についての、外務省のページ
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    2005年12月31日 K-1 Dynamite!!

    K-1の中尾対ヒーリング戦以外の試合についてメモ程度に。
    ちなみに安い席でリングが手のひらの上のマッチ箱サイズに、見える距離でした。

    第一試合

    大山峻護対ピーター・アーツ

    試合時間は30秒。大山がピーター・アーツをあっという間に足首固めで勝利していました。
    この決着の早さが格闘技らしさのなのか、と思いました。
    正直、何がなんだかわかりませんでした。
    殴りかかる、絡み合って倒れる、決まるまでが、えーとえーとの間でした。

    第二試合

    ジェロム・レ・バンナ対アラン・カラエフ。

    バンナが相手を殴ってKOしていました。
    この後、カラエフは病院に運ばれたらしいです。

    第4試合

    永田克彦対レミギウス・モリカビュチス

    事前に特集番組を見て、期待していたのはこの永田選手でした。
    レスリングのオリンピックメダリストなんですよね。
    ぱたっ、ぱたっと相手を低い位置でひっくり返す、アマレスらしい投げが印象的でした。
    それで相手をひっくり返しては覆い被さっていく。そんな地味で上手い試合で勝利を収めていました。
    デビュー戦ですし、意地でも負けられなかったんでしょうね。
    地味な展開に「ドロップキック見せろー」とか野次られたりしていました。
    まあ、兄がプロレスラーだし。
    面白かったです。
    正統派のテクニシャンか、何か間違っている人が好きなので、今後も見ていきたい選手です。

    第5試合

    レミー・ボンヤスキー対ザ・プレデター

    キックを得意とするK-1元王者とプロレスラーを寝技無しの、K-1ルールであてるということで、連れの格闘マニア(武蔵がいなかった頃のK-1を観戦したことがある)は、派手なKO劇を演出するために、このマッチはメイクされたんだと言って、試合前にプロレスラーに同情していました。
    ちなみに、ブルーザー・ブロディのコピーレスラーらしいのですが、わたしは後でブルーザー・ブロディの写真を見て「ザ・プレデターそっくり」とかいうレベルのニワカでした。

    が、この試合、意外にプレデターが粘って、延長までしました。

    ザ・プレデターの痛いよ、とでもいいたげに目を細めつつも、相手に向かっていく姿が格好良かったです。
    油断か不調か、最初は手加減してやろうという王者の余裕か、3ラウンド目でようやく出されたボンヤスキーの膝蹴りは美しかったですね。リプレイを見ると、ちゃんとあごに入ったらしいし。

    この試合は元王者の判定勝ちでしたが、観客はプレデターの健闘を讃え、判定でボヤンスキーの勝利となった時は、ブーイングが起きました。

    実はプレデターは、レスリングの大学選手権王者だったそうで、以前もこの大会に出て勝利しているらしいです。それにしてもすごいですね。

    第6試合
    武蔵対ボブ・サップ

    おお、これがキン肉マンII世のカバーの折り返しに登場していた武蔵か。
    ボブ・サップも生で見るとは思いませんでした。
    いや、格闘技とか興味なかったし、あまりテレビで見た人を生で見るという経験がないのですよ。
    ジャガー横田すら、生で見た後にテレビで見ました。そして、芸風の幅の広い人だなあ、という感想を抱いたのは内緒です。

    サップ、テレビで見るより小さいな。席が遠いから。
    まあ、トップロープの高さと比較すれば、わかるんですが。

    観客はこれまでに比べれば少し湧いた程度の反応で両者を迎えました。
    打撃主体でわかりやすかったですね。

    連れ「サップは痛みに弱いから、追い込まれると逃げ腰になっちゃうんだよ。」
    わたし「人としてまともですね。」
    連れ 「いや……そうなんだけど……。」

    サップが武蔵の後頭部を2発殴り、イエローカードを貰っていました。
    そして試合が中断され、武蔵に5分の休憩が与えられることになったのですが、ここで武蔵選手が「3分でいい」と。
    これで会場は湧きましたね。

    第7試合

    魔裟斗対大東旭

    記憶にございません。

    第8試合

    セーム・シュルト対アーネスト・ホースト

    この試合は新旧王者対決でした。
    同じオランダ人なんですね。オランダも格闘技が盛んな国だというのは、記憶にあります。
    それで、母国の英雄の座を奪われたホーストが、新たな王者に挑戦状をたたきつけたようです。
    新旧王者はそれぞれ、入場の時にベルトを掲げていました。
    そして、かつての王者は血を流して敗れ、新たな王者のシュルトは自分こそが「今の」チャンピオンであると、腕を上げて誇りました。
    覚悟の上での挑戦でしょうが、負けた方が気の毒でした。

    第9試合

    曙対ボビー・オロゴン

    元横綱対芸能人という異例のカード。

    テレビとかでも散々煽られて、待ってました、この試合。

    テレビの「曙は 除夜の鐘では ありません」という視聴者川柳が印象に残っています。
    あけぼのー、とか、ボビー、とかいう子供の声などが飛び交っていました。
    ボビーは身軽で曙は相撲取りらしい戦い方でした。
    ああ、ここが土俵ならとっくにボビーは押しだされて、押し倒されて、土付けられてるんだろうなー、という感じ。
    でも、コーナーに追いつめても殴れないし、倒して上にのるのは上手いが、その後関節技とか極まらないし。
    なんか、自爆という感じに足がもつれて転んだりもしていました。
    相撲取りは長時間戦わないしなー。
    最後の方はお互い近づきたがらなくて、あえていうならボビーが身軽に飛び跳ねながら殴ったりしていました。
    何度も審判が「もあ、あぐれっしぶ(もっと攻めなさい)」とかいう展開に、「ころがれー、ぼのー」とかいう野次が飛び、それで笑いが起こったりしていました。
    連れは、曙を途中まで応援していた人が、「もういい、やてまえボビー!」と叫んだのが、印象に残っているそうです。それは見捨てられる瞬間。

    ちなみにものを投げられないためでしょう、缶やペットボトルの持ち込みは禁止でした。ビール売りはビールを紙コップに注いで売っていました。

    第10試合

    ホイス・グレイシー対所英男

    所は逆境ファイターという、入場テーマ曲がすごく印象に強いです。
    で、何度かグレイシーにつかまれて、絡んでくる腕や足を抜けたり体勢を入れ換えたりしていました。
    その度に観客がおおーっと沸きました。寝技の攻防でここまで沸くなんて、むしろ観客の皆さんを尊敬しました。

    グレイシーの必勝パターンが、観客に覚えられているから、こうやって所が抜けると観客が盛り上がるんだろうな、と思いました。
    今度来るときはもう少し「グレイシーの必勝パターン」に詳しくなりたいです。
    時代遅れな気もするけど、まだ現役選手なんですし。

    第11試合

    山本“KID”徳郁対須藤元気

    和風で派手な元気の入場が印象に残っています。
    大晦日らしいな、と。
    山本選手は肉2世のコミックスの帯で、その名に覚えがあります。
    スグルとウォーズのかわいい似顔絵を書いていました。

    試合は最後に仰向けになった元気に凄い早さで、山本がパンチを次々に打ち込むあの場面しか覚えていません。それを止めるレフェリー、驚いてレフェリーを見る元気。
    そして、山本選手の勝利となりました。

    最後の表彰式には天から金色に輝くテープが降り、スクリーンには花火の映像が映っていました。
    生で女性歌手によりアメージンググレイスや、蛍の光が歌われるなか、観客は潮が引くように退場していきました。
    最後には「一年間どうもありがとうございました。来年もよろしくお願いします」というような挨拶が縦長のスクリーンに映り、年末らしくしめていました。

    シンイマミヤの赤い雨

    こう聞いて、ブロッケンJrでなく、ジェイドを思い出してしまう人はきっと少ない。
    これは、さる2005年7月23日に行われた、ザ・プラン9のライブイベントの名称です。
    わたしは見ていないので、以下に書き連ねる文章はよそさまのライブレポやブログその他を参考にしております。
    興行が行われた、デルフィンアリーナの最寄り駅のひとつが、新今宮なので、こういう名称なんでしょうね。
    ザ・プラン9は、お~い!久馬、鈴木つかさ、浅越ゴエ、灘儀武、ヤナギブソン、そして影の構成員・覚王山の6人からなる吉本興業所属の演劇的お笑いユニットです。
    このプラン9とケンドーコバヤシが組み、大阪プロレスからはスペル・デルフィン、ビリーケン・キッド、タイガースマスク、ラ・内田、小山レフェリーが出演しました。
    これにバッファロー吾郎の木村と竹若の二人と、りあるキッズの安田を、ゲストとして加えたようです。

    つまり出演者は、

    お~い!久馬 
    鈴木つかさ
    浅越ゴエ
    灘儀武
    ヤナギブソン
    覚王山

    ケンドーコバヤシ
    りあるキッズ安田
    木村明浩
    竹若元博

    スペル・デルフィン
    ビリーケン・キッド
    タイガースマスク
    ラ・内田
    小山良

    ……と、なります。
    ずいぶん、たくさん人が出ていませんか? 合計15名ですよね?
    ここまで本格的にやるなら、ぎゅうぎゅうにつめても300人強のデルアリじゃなく、700人が入るIMPホールでやれば良かったのに。まあ、実験的試みというのもあるんでしょうが。

    ネットで読んだ範囲では、初めてプロレスを生で見たが面白かった、と言っている人がこのイベントの観客には多いみたいなので、大阪プロレス的には知名度アップ狙い、新規客層開拓として、意味があったんではないでしょうか。これで普段のお客が増えたかどうかは怪しいですが、減るわけでもないでしょう。

    このイベントについて、「いまだかつてないほど異例の、お笑いとプロレスという全く違うジャンルの組み合わせ」というように書いてあるサイトがありました。
    え?
    お笑いとプロレスの融合ってそんなに斬新?
    ケンドーコバヤシが大阪のリングにあがるのは、はじめてではないし、9月の話になりますが、ハッスルではお笑い芸人のレイザーラモンHGがリングに上がりましたよね?
    つか、いつでも大阪プロレスはお笑いをやっていますって、そうか、プロレスを生で見るのは初めてという人にはわからないか。
    って、わたしも全然詳しくないからこそ、「プロレスってリングの上でベタなギャグをやるんでしょ?」というキン肉マンを愛読して、大阪プロレスを見ている人間しかそんな風に思わないという激しい勘違いをしている訳なんですが。
    でも、女子プロの選手が一休さんにコスプレして笑いを取る、長与千種プロデュース興行とか、ユージンがボケをかますWWEを見ていると、自分のこの誤解が今後訂正される気がしません。

    確かに、昔の新日本プロレスとかだと自らをリアルファイトと称し、全日本プロレスやアメリカのプロレスをショーとする対立構造がありましたから、観客が笑うような試合はプロレスの真剣さを損なうとされていました。
    プロレスに笑いを持ち込むべきではない、という時代は確かにあったのでしょう。
    資料的にはそういうことも知っていますが、実感はわきませんねえ。

    総合格闘技が真剣勝負、プロレスがショーということになった時、プロレスの興行をする人たちの中に、「よし、演劇やサーカスのように笑いをとろう!」という発想が芽生えること自体は当たり前なんですが、急展開ではありますね。
    大阪プロレスは、吉本興業と提携しているはずなので、今後もこういう融合イベントはあるかもしれません。
    ちなみに吉本興業は1960年代にもプロレスの興行を手がけていたことがあります。

    それに、お笑いとプロレスの融合は、キン肉マンが25年前に果たしてるし。(なんか違う)
    ただ、プラン9のこのイベントの場合、レスラーにかなり本格的にお芝居をさせているみたいなんですよ。そういう意味では、画期的?
    Vシネマにレスラーを出すのだったら、よくあることなんでしょうが、ライブでお笑い芸人の書いた脚本通りにレスラーが演じるとかいうのは、やはり斬新でしょうね。社長のデルフィンさんが「4試合もある」「やるだけやるが無理やぁ~」とブログで言っておられました。いくらお芝居の一場面でも生で一日4試合はすごい脚本だと思いますが、やりとげられたようです。普通、レスラーは一日1試合で、2試合でも連戦で大変だね、と言われます。ほとんどがプロレスは初めてのそして満員のお客さんの前で手は抜けないでしょうし。
    きちんとしゃべれる人ということで、デルフィン、ビリーケン、タイガース、ラ・内田という人選になったんでしょうか。まあ、二代目えべっさんとか、食いしんぼう仮面とか、プロレスラーに見えないし。無頼漢はヒールだから、こういう和やかな場は似合わないだろうし、そもそもブラックバファローは、キャラ被りの可能性があるし!

    なお、その日のリング(舞台)にあがったタイガース選手のブログにこの日の様子が簡単に記されていました。

    満員のお客さん(ほぼ若いお姉ちゃん)の前で堂々とキン肉マンネタで勝負。キン肉マンを知らないであろう新人類を相手に笑いをとる皆さんの目はギラギラ輝いていました。

    すげえ。
    でも今日来てくれた人の何人が「新今宮の赤い雨」というタイトルで血の温度をあげれたのか。
    そのへんの現実はさびしいですかね。

    でも通用させる実力があるから大成功するんですね。

    タイガースマスクの大阪首都化計画:新今宮の赤い雨。



    お笑い芸人がプロレスのリングに上がったら、とりあえずキン肉マンネタで笑いをとろうと考えるのは、あたりまえのようにも思うけれど、25歳より下の女性相手にはきついか。
    プラン9のファンの人のサイトには、なだぎというプラン9の人の変装を「ナチスの軍服を着ていた」と説明しているサイトもありました。
    いや、別に間違っていないけど、それ、肉ネタだから! というか、コスプレだし!
    ちゃんと(?)「ブロッケンJrの格好」と書いた他のプラン9ファンのサイトもあったのですが……しかし、この説明だと逆にどんな格好だかは、わからんな。
    ブロッケンJrを知らない人たちを相手に、「シンイマミヤの赤い雨」で勝負しようというプラン9の方々はすごいですね。タイガースさんに同意です。
    2年前のわたしが見ても、「あれがアシュラマンであれがラーメンマン、あれがザ・ニンジャで、あれがバッファローマン、頭にオムライスがのっているのは、たぶん、カレクックが元ネタ」なんてこたーわかんなかったでしょうから、本当に勇気があると思います。旬が10年以上前に過ぎているネタだよな。
    しかし、超人血盟軍-アタル+ラーメンマン(とカレクック)というキャラ選択か。演じている方が豪華なのか、演じられる方が豪華なのか、よくわからない芝居だな。アシュラマンもどきさんは、動かない4本の腕が邪魔でリングインに手間取ったらしい。

    ちなみに個人的にひっかかったのは、タイガースマスクのブログに寄せられた、以下の読者コメントです。

    『キン肉マン』懐かしい~。
    知らない世代が増えているとは、わいが年を取る訳や。
    ゆでたまご先生は、何しとんかいな。
    新作でも描いとるんやろか。



    『キン肉マンII世』のファンとしては、ここらへんはさびしいですね。うっうっ。

    プロレスがショーになって、プロが生でキン肉マンのパロディができる時代になったんですね。

    2005年 K-1ダイナマイト 中尾VSヒーリング

    「愛嬌と失敗は男の武器か?」

    男が愛嬌でのしあがっていくというタイプのビルドゥングスロマンが、大阪にはあるのだと、年末の漫才大会(M-1)や、大阪プロレスの再放送を見ながら、つくづくと思っていました。近年代表的な「笑いでのし上がったレスラー」はインディーズの大阪から、メジャーの全日に行った菊タローでしょう。
    大阪プロレスにいる限り、クールであることは出来ない。女性ファンに悪役を含めたレスラーが可愛い可愛い言われている大阪プロレスを見ていると、「もしかして、これまで自分はゆで先生が大阪出身ということを、あまりに無視してきたのではないか」みたいなことをつい考えます。スクワット1000回できる立派な筋肉と男の子的可愛げの同居って、異次元ゆでワールドだけの不可思議現象だと思っていたけど、なんか違う気がしてきた。
    わたしは出身が関東で、ここ最近関西に住んでいる人間なので、自分が立っている大阪がどういう土地かまだよくわかっていないのですよ。
    しかし、「大阪の男は、なんで愛嬌で金を稼ごうとするのか」ということを研究する学問って具体的にはどのあたりなんだろう?
    ゆでたまご先生は、笑いと愛嬌で金を稼ぐ大阪出身の男の一人、いや、一組です。例え遺伝子が同じでも、長野に生まれていたら、九州に生まれていたら、かなりの確率でそうではなかったような気が今、とてもしています。


    ところで、去年の大晦日はK-1ダイナマイトを見に行っていたんですが、大阪の土地にはリングに上がった男を「何が何でもウケを取らなくてはいけない」気分にさせる魔物でも棲んでいるんですか?

    いや、ヒーリングという選手と中尾という選手が対戦したんですが、その試合結果がこういうものだったのです。


    中尾が熱い口づけで反則勝ちした。試合前、額をくっつけたにらみ合いで、勢い余ってヒーリングにブチュ~とキス。このハプニングに完全にキレたヒーリングの右フックをアゴに浴びてダウン。ヒーリングは「ヤツはホモだ!」と怒りが収まらなかった。試合開始を先送りされたが中尾のダメージは回復せず、反則勝ちの裁定が下った。

    nikkansports.com、バトルTOP、リアルタイム速報、K-1 12・31大阪(引用元の記事はすでに削除されています)



    それで、会場にいたんですが、何が起こったのかさっぱりでした。
    中尾選手の背中から見る席だったんですが、両選手が近づいて、気がついたら片方の選手が倒れていたので、てっきりゴングがすでに鳴ったのかと思いました。
    でも、アクシデントとアナウンスされて、セコンドやドクターがバタバタとリングに上がってきて、試合前に殴ったらしいということが、連れの解説もあってようやくわかりました。
    倒された日本人選手の方に、何か挑発行為があったらしいということは、スクリーンを見ていた連れの解説でわかりましたが、試合前に殴ることはないだろうと思ってみていました。
    殴った方のヒーリング選手は、何だよ、おれが悪いのかよ、とでもいいたそうな不機嫌な表情で、ウォーミングアップでしょう、軽く跳んでいました。
    まさか、一発で倒れるとは思っていなかっただろうな、とはそれを見て思いました。
    そのうち中尾選手は担架で運ばれていき、ドクターストップで試合は行われない、中尾選手が回復したら行う、とアナウンスが。
    連れが後ろの席の客の会話を聞きとったところによると、どうも中尾選手はキスをしたらしい、そんなバカな。プロレスじゃあるまいし。

    その後、第八試合後に、中尾選手が回復しなかったので、HERO'S公式ルールにより、試合前に殴ったヒーリングの反則負けとする、というアナウンスが。そして相手の選手を侮辱した中尾選手にもペナルティが科せられると聞きました。

    家に帰り、ネットでHERO'S公式ルールを確認してみましたが、こういうことのようです。

    第7条 試合の勝敗は以下の結果で決定する

    第3項  テクニカルノックアウト(T.K.O)

    (b) ドクターストップ
    相手選手の正当な攻撃を受けて怪我を負った場合、リングドクターが診断し試合続行不可能と判断したとき、その選手は敗者となる。但し、反則攻撃による怪我の場合は、反則を犯したものが敗者となる。



    わたしの記憶によると、8条2項に基づいて中尾選手にペナルティというアナウンスだったような気がするのですが、この項目は

    第8条 以下の行為を反則とする
    2.  目、鼻、口等、粘膜部への攻撃



    なんですよね。記憶違いでしょうか。

    両者を反則とする根拠は、この曖昧な項目かも。

    第8条

    18. プロ選手として常識外の行為反則行為により選手がダメージを負った場合、または選手の位置関係に大きな影響が見られた場合はレフリーは必要に応じて試合をストップし、反則を宣告の後、反則行為が行われた直前の状態から試合を再開するものとする。また反則行為が攻防の流れに大きな影響を及ぼさないとレフリーが判断した場合は、試合は継続状態のまま反則の宣告が行われるものとする




    会場で聞いたアナウンスでは最後まで「キスをした」とは言わなかったので、家に帰ってネットで調べて、写真とか動画を見て、うわー、マジでそんなことやったんだ、と驚きました。
    会場にいた客でわかったのは、スクリーンを凝視していた人間か、近い席のいい角度でリングを見ていた人間でしょう。

    いきなりキスされたら、殴ってもいいとは、そりゃ思うよ?
    男にだって性的自由を守る権利はあるし。

    しかし、「試合前に相手を殴るな」と「対戦相手を侮辱するな」という明確な項目は、ヒーローズルールにないんですね。
    常識の範囲というか、れっきとした法律違反ですから、わざわざ書かなくていいと思いますが。
    試合開始前なら、パンチは単なる暴行だし、合意に基づいていないのなら、キスは単なる強制わいせつです。予定されたシナリオがあったのなら、どちらも合法ですが、そうでないなら、両選手共にお気の毒です。
    特にK-1のペナルティというのは、反則1つでファイトマネー10パーセントカット、失格になればファイトマネーを全額返さなくてはいけません。
    ヒーリングはこのルールがそのまま適応されれば、ノーギャラです。

    プロレスならホモネタギャグは、見たことがあります。パンツドライバーの開発者、男色ディーノとかは、それが売りですよね。
    ちなみにK-1GP1995のベルナルドvsバンナ戦でも、にらみ合いからキスというのはあったそうなのですが、ジョークとして相手も会場も受けとめたらしいです。

    K-1やPrideはショーです。

    今回会場で流された、須藤元気のこれまでの戦いの映像の中に、プロレス技のバンデーラがありました。それが名場面になるんですね。
    桜庭とか、そういう「おふざけ」をやる選手は、たしかに人気があります。
    なのでそういう美しいが効かない技を、試合の最中に出さないといけないような気がしてくる選手もいるでしょう。
    今回のヒース・ヒーリング選手の入場の際の紹介文句は「テキサスの暴れ馬」というとてもプロレス的なものでした。興行師達はもちろん、選手達もプロレスラーをひとつのお手本にしているようです。
    中尾選手もプロレスが好きで、総合格闘技の試合中にドロップキックを出したりしていたそうです。挑発好きなのも、その流れと思えなくもありません。

    例え試合自体が真剣勝負でも、選手の過去は物語化されて映像が流され、入場は演出され、魅力的な容姿、人を引きつける言動を期待されます。
    選手には「キャラを立てないといけない」とか「余裕を見せないと」とか「愛嬌のあるところを強調しないと」というプレッシャーがかかっているのでしょうね。

    これは苛酷な要求です。

    一流の役者でさえアドリブで場を湧かせるのは、難しいものです。
    スポーツの世界で強さを追い求めてきた人間が、これはショーなんだから何か面白いことをしないと、と思いつめて見事にこけたら、ものすごく笑いがとれてしまったというのが、中尾xヒーリング戦でしょう。でも、中尾選手は一人で滑ったわけではなく、相手を巻き込んでの転倒でした。

    ちなみにこの事件は、英語のサイトでは「キス未遂」というように言われたり、スポニチのサイトでは「頬にキス」として書かれたり、ライブドアニュースでは「挑発行為」とボカして書かれたりしているので、どうも一部マスコミは、お気の毒な中尾選手やかわいそうなヒーリング選手の名誉を守る方向に動いているようです。
    単に不正確な報道ではないでしょう。
    あいつ男にキスされたんだってー、とか言われたらテキサスでは生きていけそーにない。それを考えると、当然とも言えますが。

    ネットに写真や映像が出回っているにも関わらず、真相は薮の中につっこまれてしまうんでしょうか。
    でも、そういう「隠す動き」があるということは、あれはヒーリング選手が予め同意したシナリオなんかでは、なかったということなんでしょうね。
    それじゃあ、ガチで公衆の面前で辱められた上に、新聞に写真が掲載され、世界中に動画流れまくりなのですか……。お気の毒です。

    大阪プロレス観戦記第二弾

    2005年12月03日の天王山ファイナルを見に行きました。


    今回の文章は、大阪プロレスに関する初歩的無駄知識が、やたらに披露されています。
    前回観戦後、大阪プロレスについてあれこれ調べたのですね。
    特に某冨宅飛駈選手に関するあれこれは、アディクションというファンサイトを参考にしています。

    さっぱり試合内容が描写できていませんが、それはご容赦を。


    今回はいつもより大きな会場、IMPホールで行われた。

    会場は満員だった。立ち見まで出ていた。
    どこの団体も最も盛り上がるシリーズは最強を決定するトーナメント戦だそうだ。
    その決勝なのだから、これで客が入らなかったら、ホントにヤバイところだが、大盛況でデルフィン社長はほっとしているだろう。


    試合開始まで、スクリーンには、これまでのあらすじやレストランなどの広告と合わせ、プロレス教室の広告が流された。
    楽しく運動したい方から、プロを目指す方まで、だそうな。
    実際この教室から、大阪のリングにあがったレスラーもいるのだ。

    このプロレス教室で教えることの内容はだいたい、「大阪プロレスの入団テストに受かる」ことを目標にしている。
    小峠らは、教室に通って基礎を身につけ、入団テストに受かり、練習生として厳しいしごきに耐え、ようやくレスラーデビューを果たしたわけだ。
    ちなみにこの教室で鍛えて、他の団体を受けるというのもアリだ。

    本日の第一試合は、新人レスラーのデビュー戦だった。

    その男は、マントを翻し、タコヤキのマスクをかぶり、タコヤキ屋のおじさん風のはちまきに白いタンクトップ、茶色いパンツ姿だった。
    そして、手には巨大な爪楊枝と思われる、先をソース色に染めた長い棒を持って入場してきた。

    その名はタコヤキーダー。

    おお、ついに大阪プロレスにも「食い物系レスラー」が。
    いや、わたしも考えたんだ。
    タコヤキマンとかオコノミヤキマンとかは、いないのかと。
    しかし、大阪プロレスには「あなたの考えたレスラーを送って下さい」のコーナーはなかったので、そのまま忘れていた。
    テレビ大阪のたこるくんとかぶるっつーのも、あったしな。

    数日前にデルフィン社長のブログに今度デビューする練習生に技を教えてくれと頼まれたので、教えたという心温まる話が載っていたので、たぶん、これがそうなのだろう。

    このタコヤキのマスクをかぶった男は、プロレス教室出身とかそういうことではなく、実はタコヤキがぱかっと割れて生まれたとか、そういう存在なのかもしれないが。

    入場と共に、割れんばかりの拍手と「タコヤキーダー!」という名前の連呼。
    そして、おそらく教室の仲間が用意したのであろうと思われるオレンジの紙テープが、リングに乱れ飛んだ。

    タコヤキーダーの対戦相手は、タイガースマスク。
    最初の試合だけあって、タコヤキーダーの動きはぎこちなかったが、彼の放ったドロップキックに、明るい拍手が湧いた。

    大阪プロレスは現在人手不足である。
    春に8名もの離脱者を出し、選手は1名でも多く欲しい。
    それもできれば、他団体からの「借り物」でない、大阪プロレスの選手が。
    その事情を知っていることもあって、観客は新たな戦力を歓迎したのだろう。

    同じ教室の仲間に支えられ、満場の拍手を浴びてデビューした君に栄光あれ。
    頭に青ノリがついていても、いいじゃないか。


    第二試合は6人タッグマッチ

     ミラクルマン&えべっさん&アイスペンギン

     スペル・デルフィン&くいしんぼう仮面&冨宅飛駈


    今回もえべっさんとくいしんぼう仮面の入場は長かった。

    えべっさんはいつものようにお賽銭箱を持って入場していた。サラリーマンらしき人がわざわざ席を立って、福を授けてもらいに行っていた。
    日本では、神を演じるものにも神が宿るという信仰があるはずなので、プロレスラーを拝むのもありだと思う。

    くいしんぼう仮面にお菓子をあげるときは、ひもをつけて首にかけてあげることになっている。放り投げてはいけない。
    やはり、お菓子を遠くから投げたりすると危険だからだろうか。大きなぺろぺろキャンディとかは、5メートルも飛んだら凶器になりそうだ。
    まあ、投げつけるのは失礼という、子供に対する教育的指導なのだろう。

    冨宅選手は、赤いパンクラスのガウンを翻しての入場だった。
    あれが、パンクラス創立者、船木選手に譲られたらしいと噂のガウンだろうか。袖が少し余っていたので、おそらくそうなのだろう。
    袖が余るということは、冨宅が船木より小柄だということである。彼が大阪プロレスに来た理由のひとつに、小柄であるという事があったようだ。
    あまり体格に恵まれないレスラーには、ルチャ系団体が主な選択肢である。関西ならば、ドラゴンゲートか、大阪プロレスか。
    そして、大阪プロレスを選んだのである。
    去年までは、外部の選手らしく月1回くらいのペースで出ていたが、春の大量離脱の後、皆勤賞がとれるくらいのレギュラーメンバーとなった。
    本人が望んだことであるし、大阪プロレスという団体にとっては、貴重な戦力なのだろうが、観客はあまりそう思っていないらしい。

    ブーイングと拍手が半々といった感じで、冨宅は迎えられた。それにカレーの福神漬けのように、ふけさーん、という女性の声を添えて。

    アイスペンギンは、某水族館ペンギン課営業部部長の座をリストラされたという。
    ペンギン「課」の「部長」という所に経歴詐称のにおいがぷんぷんする。
    実は、ヒラ社員だったとかそういうことなのかもしれない。
    ちなみにプロレス選手名鑑2006年度版の寸評&備考には、「海遊館のペンギンだった」と書かれている。おい、どうやって人間サイズになったんだよ。
    キン肉マンの超人並の設定のいいかげんさである。きっと設定からして、突っ込み待ちなのだろう。

    そんなメンバーを揃えての試合は、アイスペンギンのボケに、みんなが突っ込むというものだった。

    今回、アイスペンギンは社長に、タックルとラリアットを披露した。
    もっとも、ペンギンが社長に突っ込んでいって、社長が派手にこけただけだが。
    それで技がつきたらしい。
    なんや、もう終わりかといいたげに、肩のほこりを払いながら、社長が立ち上がる。
    ペンギンは慌てて、他のメンバーにタッチしようとする。
    同じくメンバー交代で、社長陣営が冨宅を出そうとしたとき、それは勝てそうにないから、やだ、とペンギンが嫌がっていた。

    個人的には、大阪プロレスで一番好きなキャラは、このペンギンかもしれない。
    ペンギンは社長にごめんなさい、もうしませんと土下座した後で、
    「さーわーるーなよー」と、憎々しげに社長の手を振り払ったりする。
    そんなペンギンさんが「なーげーるーなよー」といいながらも、投げられてしまうのが好きだ。
    ドロップキックでボケに突っ込むのは、マンガによくある光景だが、それを実際にやるのが大阪プロレスだ。

    試合は、中盤辺りでレフェリーを巻き込んでの金的合戦になった。寸止めなのだろうが、ファールカップを厚めにしないと、辛いコントだな。
    レスラーの息があっているので、あまり下品な感じはしなかったが。

    客は盛り上がっていたが、連れの格闘技マニアは、くいしんぼうたちのイタズラでデルフィンの顔に冨宅の股間が押しあてられたりするような光景に、ちょっと悲しそうな顔をしていた。
    スペル・デルフィンと冨宅飛駈で、これをやるから面白いような気もするが。エライ人やまじめな人ほど、いじって面白い。
    このネタを考えたのは、デルフィンだろうか。体を張る社長だな。
    実は下ネタ大好きらしい冨宅さんは、この案にノリノリだったのかもしれない。

    ちなみに今年のプロレス選手名鑑で、冨宅選手は「グッとくる異性の仕草は?」という質問に「S○Xしてる時」と答えていた。
    そこまでいかないとグッとこないということは、色香に鈍感なのだろう。
    個人的には、初代タイガーマスク佐山聡の「好きな食べ物は?」「ケーキ全般」「抱負は?」「やせる」がツボだ。
    もし、あなたが現在の初代タイガーマスクの体形を知らないのなら、あまりピンとこないかもしれない。かなりお肉がついておられるのだ。

    夢枕獏の小説につぶれかかった団体が、金網デスマッチなどの凄惨な方向に走る姿が描かれていた。その後テレビでみちのくプロレスの鉄条網ボードデスマッチを見て、ここも苦しいんだろうかと思ってしまったが、大阪プロレスは意地でも残虐表現には走らないつもりなのだろうか。そうあって欲しいが。
    でも、傾くとギャグが寒くなるプロレス団体ってのは、イヤだな。
    人気が落ちると残虐表現や寒いギャグに走る、プロレスマンガというのはありそうだ。

    お約束の場外でのおっかけっこが始まった。
    下をえべっさん達が走り回っていた時だと思う。
    冨宅がトップロープとセカンドロープの間で、くるりとまわった。
    体操選手のように、軸のずれのない、美しい回転だった。

    会場には、感心の拍手が湧いた。
    わたしは619だと思ったし、格闘技マニアの連れもそう思ったが、家に帰って調べてみると、回るだけでキックしないのは、フィンタ・デ・レギレテというのだそうだ。
    フィンタはスペイン語でフェイントの意味だ。ルチャの技である。
    場外へのキックと見せかけて、回転し、リング内に着地する。
    場外乱闘のないパンクラスでは、必要のない技だ。
    そして、ルチャ(メキシコプロレス)の流れをくむ、大阪プロレスのリングで披露するのにふさわしい技だ。
    日本では初代タイガーマスクが最初に披露した。
    かつてタイガーマスクに憧れた、冨宅さんはプロレスに来てから、この技を一生懸命練習したのだろう。

    その後、デルフィン社長がペンギンをデルフィンクラッチに固めた。寝ている相手の腕を胸の辺りで組ませ、そこを左足で踏み付けて、左腕で両足を持ち上げて抱える。そして、いかにもしとめたぞ、という感じに右手を上げてアピールする技だ。
    あれがデルフィンクラッチだと、連れに言ったら「?」という反応をされた。
    ネットで知ったばっかりの技を得意げに解説する自分は、にわかファンらしさに満ち溢れていると思う。

    最後はコーナーにペンギンが上がって「飛びたいなあ」と言っていた。
    すると、ふけさんが「飛ばせてやろうか」と言って、トップロープをゆすったので、ペンギンは足をすべらせてトップロープで股間を打った。悲鳴を上げるアイスペンギンを冨宅選手は後ろからぎゅっと締めた。

    ゴングがなった。勝者、冨宅飛駈。

    観客は不満そうに拍手した。
    盛り上がらないね、と連れが言った。
    まだ、冨宅さんが大阪プロレスに馴染んでいないからだろう、と思った。

    だが、もうひとつの理由が考えられる。
    わたしもそうだが、会場の人の多くは冨宅さんがペンギンを投げるのを、期待していたのだ。
    前回観戦時もアイスペンギンの「飛びたいなあ」はあり、デルフィン社長が豪快にペンギンを投げていた。
    大阪プロレスでは、ペンギンだって空を飛ぶ。
    すぐにマットに叩きつけられていたが。
    でも今回は、ペンギンを後ろから羽交い締めにしただけで終わったので、拍手が少なかったのだろう。

    冨宅選手のチキンウイングフェースロックを楽しみにしていたのに、あれがチキンウイングフェースロックだと気付いたのは、おうちに帰って、公式サイトの試合記録を見てからだった。
    正面から見たのでわかんなかったよ!
    横から見るとかけられた側の腕が手羽先のようにねじまがっているのが、チキンウイングフェースロックだ。名前の前半は、そこから来る。後半のフェースロックはフェイスロック、顔面を固めるという意味である。

    チキンウイングフェースロック。
    従来のプロレスを否定し、キックや関節技を重視し、より格闘技色の強いプロレスを目指した、UWFという団体を象徴する技である。
    夢枕獏の小説、『餓狼伝』の一巻で、主人公がかけられた技といえば、わたしがなぜ生で見てみたいと思ったかおわかりだろう。
    わたしは熱心な獏読者ではないが、その技の名前は数年前に読んだにも関わらず、はっきりと覚えていた。相手の手を背にひねる技だということも。

    冨宅飛駈は、今や格闘技マニアに伝説となった新生UWFの入団生だ。
    その後、藤原組に所属し、プロ格闘団体、パンクラスの旗揚げメンバーとなった。
    現在は、パンクラスミッションという、「パンクラスプロレス部」とでもいうべき部門に所属する。
    伝説の団体の出身者だが、彼自身に伝説はない。
    「売れない芸人のように消えたい」と、かつてインタビューで語ったという。

    しかし、UWF出身者が見せてくれるなら、そのチキンウイングフェースロックは正統派に違いないとわたしは思ったのだ。
    それをコーナーの上のペンギンに、かけてくれちゃったわけだが。
    アイスペンギン相手の時は「ペンギンウィングクチバシロック」とか言ったら、いいのかもしれない。

    観客の中には、冨宅が必殺のチキンウイングフェースロックを決めてくれるのを期待していた人もいるだろうし、なまじ派手な投げなど披露したら、パンクラスの冨宅飛駈のイメージが崩れるだろう。その意味では、コーナーポストでチキンウイングフェースロックも仕方のないことかもしれない。

    打撃を鍛え、様々な関節技を修得し、一度正統派の格闘家となり、真剣勝負を重ねたその後で、自分の体を張ったギャグが大阪の客に受けないことを悩む、そんな人生もUWFの風が吹き過ぎたその後にはあるのだ。


    第三試合は、天王山2005 3位決定戦

    ビリーケン・キッド

    ブラックバファロー

    ビリーはともかくよく飛ぶ。そして、よく回る。フライングソーサーとアナウンサーが呼称していたが、とても身軽で、ルチャドールらしいレスラーだ。
    ふだんよりよく回っていた気がするのは、やはり意気込みの表れだろう。
    デルフィンアリーナの近くの天王寺の商店街にいくつも置いてあるビリケン像には、足の裏をなでると幸運が訪れるという信仰がある。
    それと同じように、ビリーケン・キッドのリングシューズの裏をなでると幸せになれたりするのだろうか。

    この試合の際、ブラックバファローのマスクに生えている角の片方が折れて、垂れ下がった。右側の角だった。
    気がついた本人がその角を引きちぎって、セコンドに投げた。
    アクシデントとはいえ、妙な迫力のある場面だった。
    この会場にいる人間の何割が角折れバッファローマンを思い出したか、アンケートで聞いてみたいものだ。
    真っ先に思い出したのは、『キン肉マン』の食玩をコレクションしているご本人だろうが。



    第4試合は、政宗と秀吉対ラ・内田と小峠である。
    ヒールのマスクマンコンビと、ベビーの素顔レスラーのコンビだ。

    「政宗」「秀吉」と名前がお揃いなのは、偶然ではない。
    「政宗」は大阪のリングに上がる前からMASAMUNEだったらしいが、秀吉は政宗の大阪でのデビューの時に、秀吉となったはずだ。そしてこの春コンビで大阪プロレスのリングに登場し、タッグ王座についた。
    秀吉は大阪城のかつての主の名である。
    戦国時代、豊臣秀吉は伊達政宗と組んでいた。このコンビを考えた人はセンスがあるな、とそれを知った時は思ったものである。

    ラ・内田と小峠は、両方とも大阪プロレス教室出身者だ。
    この団体からデビューした新人とあって、観客の応援には力がこもる。
    団体最年少、20歳の小峠の目標は、シングルでの初勝利と、パンフレットに記されていた
    しかし、秀吉に紙人形のように投げられる小峠を見て、初勝利はマジで遠いと思った。本当に軽そうだったので。
    いくらプロレスでも、細腕の新人が分厚い肉体のベテランに勝ったら、観客は白けるだろう。
    春の大量離脱前にデビューした、ラ・内田はそれなりに迫力のある闘い振りを見せた。
    だが、結局はベテランの政宗と秀吉が余裕を見せて勝った。
    ヒールにだって友情はあるんだ、それが大阪プロレス。


    第5試合、天王山2005決勝戦である。

    さあ、ケガで車椅子に座る仲間の見守る前で闘え、スーパー・ドルフィン。おまえのライバルのビリーは見事、三位になったんだぞ。というのが、この決勝戦の状況である。
    世の中には、わざと選手のケガを演出するプロレスもあるようだが、ツバサの膝の再手術はガチだろう。現在、彼のブログは闘病記になっているのだ。レスラーであることは、苛酷である。
    ドルフィンのセコンドには、ビリー、タイガース、内田、小峠などこれまでに敗れた正規軍のメンバーがつき、大鷲には無頼漢の三名がついている。
    試合中に無頼漢がドルフィンの邪魔をしたり、それをやめさせようとする正規軍達がリング下で盛んに場外乱闘をしていた。小峠はまたやられていた。
    なんてわかりやすい「敵の卑怯」と「仲間の援助」と「仲間の犠牲」だろう。
    すごいや、大阪プロレス。

    試合はドルフィンの勝利に終わった。
    倒れた大鷲に無頼漢達が駆け寄るが、大鷲は自分とドルフィン以外リングから降りろと言う。そして、マイクアピール。

    「お前はよくやった。認めてやるよ。俺の大阪プロレスを潰そうとする思い、ドルフィンお前の大阪プロレスを守ろうとする思い、お前の方が数段上だったな。俺の居場所はここにはねぇ。最後にお前と戦えてよかった。ありがとよ。」

    というような内容のことを言った。
    あまりのベタに会場は苦笑と失笑をまぜたような笑いと、そこそこの拍手に包まれた。わたしは、最初から天王山までという契約だったのか、なんらかの理由で契約が更新されなかったのか、と考えていた。

    こう言い残して去った大鷲の後を追う無頼漢3人たちの背中が、本当に置いていかないでな感じに見えた。
    ヒール不足なので、本心から去られたくなかったのかも。

    いい意味で、おめでたいプロレスに満足して席を立ち、出口に向かう途中、三人の小学生の男の子とすれちがった。
    「大鷲もええこというな」という会話が聞こえた。
    おどろいた。
    小学生には、これでいいのだ。
    これがいい、というべきか。

    プロレスの演技が客を感動させるためのものならば、これは大阪プロレスのささやかな勝利なのだろうと、思う。


    次に来るときは、勇気を出してアイスペンギンさんに、サインを貰いたいと思います。